ご挨拶

第41回日本DDS学会学術集会
会長 
安永 正浩

国立研究開発法人国立がん研究センター
先端医療開発センター・新薬開発分野 分野長

第41回日本DDS(ドラッグデリバリーシステム)学会の学会長として、皆様を心よりお迎えいたします。今年のテーマは「進撃のDDS:新しいフロンティアを切り拓け」です。このテーマのもと、DDS分野における新たな挑戦と革新を探求します。

本学術集会は、2025年6月17日(火)および18日(水)に千葉市の幕張メッセ国際会議場で開催されます。DDS学会は、医工薬を中心とした様々な異分野の研究者が集まり、マテリアル、ターゲッティング、経皮・経肺・経粘膜吸収、コントロールドリリースなどの重要なテーマの研究開発に注力しています。この異分野融合のアプローチにより、新しい知見と技術が生まれ、DDSの未来を切り拓く革新的な解決策が期待されています。

近年、Antibody-drug conjugate(ADC)、Bispecific antibody、Radioimmunotherapy、Photoimmunotherapyなどの次世代抗体医薬が臨床応用され、病巣へ”薬を運ぶ”、或いは“免疫細胞を呼び込む”ことが出来る「魔法の弾丸」としてさらなる発展が期待されています。また、再生・細胞医療や核酸・遺伝子治療に対するDDS技術の応用も期待されています。さらに、α線セラノティクス、光ケミカルバイオロジー、AIやPROTAC-Antibody conjugate或いはサメ免疫系の応用などの新たなフロンティアも魅力的です。評価系では、分子イメージングや先端的質量分析に加えて、ヒト化マウスや動物代替法などの最新技術も利用できるようになりました。これらの分野におけるDDS技術の革新は、新しい治療法の確立に寄与し、患者さんにより効果的で安全な治療を提供することが出来ます。アカデミアと企業の協力関係のもと、トランスレーショナル研究も盛んに行われています。本学術集会では、多様な感性と価値観を持つ研究者同士が意見を交換し、新たなコラボレーションを生み出す場を提供します。これにより、最先端の研究が加速し、新しい治療法や技術の実用化が進むことを期待しています。

本学会では、最先端の研究成果を発表するシンポジウムやワークショップ、口頭・ポスター発表を予定しており、参加者が有意義な議論を交わし、知識とアイデアを共有する機会を提供します。特別講演は、京都大学名誉教授の西川伸一先生とDDS学会顧問の松村保広先生にお願いしました。お二人の知識と経験から得られる洞察は、新たな研究の方向性を示すものと確信しています。皆様の参加と熱意が、新たなイノベーションの礎を築くことにつながります。この学会を通じて得られる経験と知識が、今後の研究活動や臨床応用に役立つことを願っております。第41回日本DDS学会でお会いできることを楽しみにしております。