ご挨拶
一般社団法人
日本看護学教育学会 第35回学術集会
会長 安酸 史子
日本赤十字北海道看護大学 学長
第35回学術集会を、2025年8月29日金曜日~30日土曜日に、北海道北見市にある日本赤十字北海道看護大学と北見工業大学において開催させていただくこととなりました。歴史ある本学会の学術集会を北見市で開催するのは、2回目となります。このような機会を頂きましたことに、心より感謝申し上げます。
第35回学術集会のメインテーマは、「危機に立ち向かう看護学教育」です。
1992年の「看護婦等の人材確保の促進に関する法律」制定以降、急速に看護師教育が高等教育化され、2024年7月時点で看護系大学協議会の会員校は304校となり、我が国の全大学の3校に1つには看護系大学がある時代となりました。大学院の数も増え、修士課程216校、博士課程128校です。修士課程で専門看護師、診療看護師、ナースプラクティショナーの課程を持つ大学は109校です。3年課程の看護専門学校数は2024年6月時点で444校です。看護専門学校卒業後に大学院に進学する道も開かれてきました。他学問領域から見れば、看護学教育が30年間でこれほど急速な高等教育化を実現できたことは驚愕に値することだと考えています。
そうした中で、看護学教育は現在はいくつかの課題に直面しています。一つ目は、指導困難学生が増える中、学生個々の特性に合わせた肌理の細かい看護学教育を組織的に実施する看護教員の教育力に関する課題です。二つ目は、頻発する自然災害や感染症の拡大に対応する教育方法の工夫に関する課題です。三つめは、急速な人口の減少に伴う入学生確保の困難さや看護教員確保・育成の課題です。看護学教育のハード面は整ってきましたが、ソフト面がそれについていっていない状況と言っても良いでしょう。こうした課題は今や看護学教育界における‘危機’と言っても過言ではないと考えています。
合理的配慮の義務化がもたらす看護教員のジレンマ、COVID-19によって露呈した対面での演習や実習方法の脆弱性、気候変動をふまえた災害看護訓練等の体験学習の推進の課題等、様々な危機に立ち向かって看護学教育を発展させていくための模索など、物的にも人的にも制限のある中での看護学教育について様々な角度から多面的に考える学会にしたいと考えています。
ハイブリッド開催で、遠隔参加可能とし、多くの参加者に道東にある北見の魅力を感じてもらえるように様々なアイデアを組み込んだ学術集会にしたいと考えています。
ご参加の皆様にとり、有意義な学術集会となりますよう、現在、開催に向け、鋭意準備を進めております。多くの皆様のご参加を、心よりお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。
一般社団法人 日本看護学教育学会第35回学術集会
会長 安酸 史子
(日本赤十字北海道看護大学 学長)