ご挨拶
公益社団法人 日本薬剤学会 第40年会 年会長
深水 啓朗
明治薬科大学 教授
日本薬剤学会第40年会の開催にあたって
公益社団法人 日本薬剤学会は、1985年の設立以来、「薬剤学」に関連する多彩な活動を推進し、来年の年次大会で記念すべき第40回を迎え、約1,800名の会員を擁する学術研究団体としての歩みを着実なものとしています。
「薬剤学」は、そもそも物理~、生物~、医療~などの多様な接頭辞を有しており、上述したとおり、多彩な専門分野を取り扱う学問といえるでしょう。それはつまり、ともすれば「縦割り」になりかねないリスク因子ともいえますが、本学会では2007年頃よりフォーカスグループ(FG)制度をスタートし、今では12のFGが自律的に、分野を横断した活動を展開しています。その間にはFGの統廃合も少なからずありましたが、それはFGの活動が決して惰性ではなく、時代のニーズを志向している表れともいえるでしょう。
皆さまが実感されているように、近年の新薬開発は難易度が増す一方です。低分子から高分子、少し戻って中分子へ、といったモダリティの変遷もありますし、DDSを実現するために化学・生物学的なキャリアの開発に加え、工学的なアプローチによるデバイス開発も必須な時代です。さらにいえば、本邦では皆保険制度を支える医薬品特有のレギュレーションをクリアしなければなりません。それはまさに、「薬剤学」がもつ多様性を最大限に活用する時代が到来したとも考えられます。この第40年会という区切りのときに、参加する皆さまが「薬剤学」の本質を改めて認識するという願いを込めて、年会のテーマを「Patient-centricに臨・産・学・官が協奏する薬剤学」と掲げさせていただきました。
第40年会は、2025年5月22日(木)から24日(土)まで、東京湾に浮かぶ、お台場のTFTホール(ビル)で開催されます。本年会の特別講演(協奏シンポジウム)では、臨・産・学・官(政)を代表する演者を招き、お互いの音(講演)を聞きながら、アンサンブルを奏でていただく趣旨となっております。また、上述のFGが主体的に活動するラウンドテーブルも例年通りに公募いたします。本年会が、あくまでもPatient-centricに、持てる技術を結集する機会になりますこと、全国から多くの方々にご参加いただけることを切望し、ご挨拶とさせていただきます。
公益社団法人 日本薬剤学会 第40年会
年会長 深水 啓朗
(明治薬科大学 教授)