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特別講演1

  「細胞シート再生医療による医療革命」
 岡野 光夫 先生 (東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
   20世紀に医薬品が大きく発展し、多くの疾病が治療できるようになってきているものの、未だ多くの患者が難病や障害で苦しんでいる。昨年の京大・山中教授のiPS細胞によるノーベル賞受賞以来、再生医療への期待が高まっている。我々の細胞や組織を人工的に培養して増やし、これを治療に使うことで難病や障害の再生医療による克服が期待されている。この再生医療が21世紀の主役となるものと世界が注目している。こ
の実現を20世紀の既存の学問の延長線上にそのままで描くことは難しく、医学と工学が連携した新領域の発
展が必須であると考えられ、世界でその取り組みが進んでいる。
  我々は、医学と工学を融合させて細胞シート工学を創出、再生組織の構築を世界で初めて提案し、その実現に向けて継続的な研究を行っている。細胞培養皿の表面に温度応答性高分子であるポリN-イソプロピルアクリルアミド (PIPAAm) をナノレベルの薄さで表面に固定、温度応答機能を持つインテリジェント表面を開発した。これにより、温度による培養細胞の接着・脱着の制御を可能にした。すべての組織をシート状に加
工した培養細胞から積層化・組織化する技術に取り組んでおり、これを細胞シート工学とよんでいる。薄い細胞シートを構成要素とし、厚い組織が薄い細胞シートの層状組織から生じることに注目して研究を展開しており、この細胞シートを積層化し、組織を作製していくことでより高機能な組織となる。
  現在、角膜、心筋、食道、歯根膜、軟骨のヒトの臨床研究を実行するまでに再生医療研究の基盤が構築されつつある。この医学と工学の融合を基盤とした研究組織により、難病の根本治療に向けた細胞シート再生治療の適用拡大を強力に進めている。特に、細胞シート積層化組織内に毛細血管を誘導し、生体に移植すると生体内の毛細血管とつながる。その後つぎつぎに細胞シート積層化組織を重ねて移植することで厚い組織
が作れる。このin vivoの手法をin vitroでも再現できることに成功し、今後の肝臓や膵臓の再生医療の基盤が着々と出来上がってきている。さらに近い将来の移植治療も見据えた効率性・安全性の向上を目指し、全自動で細胞シートを培養・積層化する技術の開発にも取り組み、動物実験で検証する段階にきている。
   

特別講演2

  「東南アジアにおける薬学事情」
 寺田 弘 先生 (新潟薬科大学、東京理科大学 薬学部)
  1. はじめに
  私が所属している東京理科大学薬学部DDS研究センターは、2003年に開設されて以来東南アジアの薬学との連携に力を注いできた。特にインドとは「アジアに多発する慢性難治性感染症克服のための日印国際シンポジウム」を永井財団とともに、ほぼ隔年毎に開催している。日印国交樹立60周年に当たる昨年はインド大使館の協賛により第4回の日印シンポジウムを開催した。また、いくつかの大学や研究機関との交流を行っ
ている。さらに、ベトナム国立大学 (ハノイ) の薬学部とも連携活動を行っている。中国や韓国との関係が必ずしも良好とは言えないこともあって、このところインドを始めとする東南アジアに対する関心が一層深まっているので、私どもの経験はアジアにおける薬学関連分野の今後の動向にとって参考になる可能性があると思う。インドとの交流を中心に、その一端を紹介したい。
2. インドの薬学
  インドの人口12億人は中国に次いで世界第2位であるが、消費の主役である中間層の人口は2020年には中国と同程度になると予測されるなど、インドの経済力の増大は顕著である。2012年の3月、お台場のビッグサイトで開催された国際医薬品原料・中間体展に、「世界の製薬基地インド」はBrand India Pharmaというプロジェクトを構築して、代表的な製薬企業30社が出展した。 このことに象徴されるように、インドではIT、
自動車と並んで製薬は成長産業の代表的なものであり、高品質のジェネリック薬品製造分野に於ける世界的リーダーの位置を占めている。
  薬学はインドでは “人気のある” 学問分野の一つである。その教育システムは複雑なので、ここではその詳細は述べないが、2005年以降薬学教育機関数は顕著に増大し、854校に達している。インドには27の州があり、17の公用語があるので、薬剤師の国家試験は州単位で行われている。また、薬学に於けるリーダーを養成するために、最新鋭の薬学教育を行うNIPER (National Institute of Pharmaceutical Education and
Research) という3年制の博士課程大学院大学が1991年に創設以来現在のところ7校が設置されている。
  インドで特徴的なのは、いわゆる近代薬学に基づく製薬 (modern drug) ばかりでなく、伝統医学であるアーユルヴェーダAyurvedaに基づく製薬が行われていることである。日本においてアーユルヴェーダは、神秘性のある美容法として人気があるようであるが、本来はその様なものではなく、心と身体、行動、環境などの調和として健康を考える総合科学なのである。身体を取り巻く種々の要因のトータルシステムとして健
康を考えるものなので、「ダーウイン医学」と基本的に同一の思想なのかもしれない。
3. インドで薬を考える
  日本にとってインドはまず生産基地としての価値が認識され、インドの生産活動の発展に伴い最近では市場としてのインドも注目されるようになった。日本の産業活動にとって有益な国がインドなのであるという考えが根本にある。しかし、私がインドに注目するのは、インドが多民族、多文化が織りなすマルチの国であるということである。宗教、生活様式、生活環境に何でもありということである。
  薬の開発はあるサイトに特異的に結合する化合物を見いだすことに基本的に基づいている。しかし、薬が作用する場は多様性に富み、生体は異物である薬を排除するために働いているので、薬の作用を理解するためには生体環境との組み合わせが必要である。多様性のある民族における健康と疾病を統合的に理解することは、マルチの場である生体における薬の作用を統一的に把握するうえで重要であると考えている。そのよ
うな場を提供するのがインドなのではないか。健康の改善や維持にとって薬の役割はどうあるべきかを考えて見たい。
 

招待講演

  「製剤開発における特許」
 中嶋 俊夫 先生 (特許業務法人アルガ特許事務所)
   医薬品の開発において、製剤の検討は、医薬品の商品形態として極めて重要な手段であるにもかかわらず、従来、それほど重要視されていなかったと考えられる。しかし、DDS技術の進歩、新たな製剤技術の開発などにより、さらには、製剤特許が特許権の存続期間の延長の対象になるという最高裁判決が出たことにより、各製薬企業及び大学の研究機関でも、製剤技術に対する関心が高まっている。特に、口腔内崩壊錠に関して
は、近年多くの製品が上市され、その売り上げは年々上昇している。
  そこで、筆者は、口腔内崩壊錠の技術動向を、特許情報に基づいて探ってみたので、報告する。国内製薬企業8社 (ジェネリックメーカーを含む) の口腔内崩壊錠に関する特許出願状況を調査し、その技術内容に基づいて、現在の口腔内崩壊錠の技術の進歩、各製薬企業の特許戦略について探ってみた。
  A社が、日本で最初に、口腔内で崩壊し、かつ十分な硬度を有する口腔内崩壊錠に関する特許出願をしており、その後、B社、C社、次いで他の製薬企業が多くの特許出願をしている。
  A社の特許の内容はどのようなものか、他の製薬企業は、A社の特許に抵触しない口腔内崩壊錠をどのようにして開発したのか、また、ジェネリックメーカーの口腔内崩壊錠に関する特許出願動向についても、報告する。
  さらに、口腔内崩壊錠であるにもかかわらず、薬効成分の放出制御がされた製剤も開発され、特許出願されている。この放出制御口腔内崩壊錠の特許出願動向についても、報告する。
   

 

 
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