指定企画4　「ケースメソッド授業」は、地域密着型の急性期病院がコロナ禍に翻弄され悪戦苦闘する姿を通じて、パンデミックへの危機管理、医療崩壊を目前にしたリーダーシップについて、様々な立場の参加者による、多様な切り口での議論を展開するケースディスカッションです。

新都市総合病院（病床数360床）は急性期を中心に地域に密着した医療を提供している病院である。就任して3年目の町田病院長は副院長の経験も長く、病院の業務に精通している。2020年3月、新都市総合病院もコロナ感染の波（第1波）に晒されたが、感染症指定病院ではないこともありコロナ患者を受け入れずに様子を見ていたところ、患者の受診抑制や手術制限により大幅な減収に陥った。コロナ患者の受け入れには医師の間に賛否両論があったものの、繰り返される行政からの要請と地域における当院の役割を考え、7月になって町田病院長は緩和ケア病棟を改修して中等症までのコロナ患者受け入れを決めた。コロナ病棟の開設に不安を抱える職員が多いなかで、看護師の配置、感染症対策、ゾーニング、業務手順の作成など着実に準備を進めた。実際にコロナ病棟を開設してみると、認知症のコロナ患者への対応や、不自由な入院生活に悪態をつく患者の態度に苦慮したが、担当の医師や看護師達の頑張りで病棟運営は次第に軌道にのってきた。ところが9月になって、コロナ病棟とは別の病棟でクラスターが発生した。急遽、クラスター発生病棟を閉鎖し、外来新患受入れ中止、お産や救急の受入れ中止、待機手術を延期するとともに、病院全体で感染症対策の練り直を迫られた。コロナ感染や濃厚接触で出勤できない職員が増えたために、全病棟の再編を強いられた。残った職員は次第に疲弊し、情報伝達不足を背景に、新型コロナ感染に関わる部門と関わらない部門との間に分断が生じてきた。さらに、若手医師のグループと、古参医師の意見の対立が表面化してきた。町田院長は一番苦しいときに組織に内在する葛藤が噴出してきたように感じていたが、院長自身が日々起こってくる目の前の問題の処理に追われ、近視眼的になって場当たり的な対応を繰り返すようになっていた。現場は町田の指示待ちになり、自発的に動かなくなってきた。職員の抱えるストレス、不安をみるにつけ、町田は院長としての自分の役割を変える必要があると感じ始めた。

ケースではこの先の展開も記述してあります。下記のURLからケースをダウウンロードしてお読みください。このケースを通じて、コロナ禍での危機管理や組織のあり方、リーダーシップについて考えてみたいと思います。ケース討論に正解はありません。様々な切り口から議論を展開し、学びの共同体を作りたいと思います。ケース討論への参加者を募集します。職種、職位、経験、年齢を問いません。ケースをお読みいただき、討論への参加ご希望の方は、次の【ケースメソッド授業　討論参加者の募集】に進んでください。

授業形式：
　Webでのケースメソッド授業

ケースメソッドとは：
　ケースメソッドとはケースに書かれている内容（企業や組織、病院の実例）について討議する形式で進めら
　れる教育法であり、ビジネススクールで広く用いられている実践的な授業法です。講師は討議のきっかけを
　与え、議論の舵取りをしますが、正解や知識を伝授する講義はしません。参加者は討議を通じて、考え発言
　するとともに、他の人の意見を聞くことでクラスに学びの共同体を形成します。
　通常のケースメソッド授業では、あらかじめケースを読み込んで課題への考えをまとめたうえで、グループ
　討議をし、その後にクラス討議（全体討議）をしますが、今回のケースメソッドでは、グループ討議を行わ
　ないで、全体討議のみ行います。

討論参加者：
　約30名を一般公募します。医療職、事務職など、職種、年齢、経験を問いません。
　下記の討論参加者事前登録フォームから事前登録してください。

登録の締め切り：
　2021年10月15日（金） → 10月25日（月）にて締切りました。

事前登録以外の参加者（Audience）について：
　事前登録する討論参加者でなくても、学会参加者はどなたでも事前登録なしで当日のケースメソッド授業を
　自由に聴講することができます。ただし、ケースメソッド授業の討議に参加を希望する方は討論参加者とし
　ての事前登録をお願いします。

討論参加者は予習が必要です。下記からケースと設問をダウンロードし、ケースを読み込んだうえで、当日の討議に備えて設問への解答を用意しておいてください。討論参加者以外の聴講参加の方も事前にケースをお読みください。

・新都市総合病院　コロナ禍の苦闘【PDF】