日本家族看護学会第28回学術集会を、東京大学本郷キャンパスとオンラインにおいて開催すべく企画しております。このような機会をいただいたことを大変ありがたく思います。上別府理事長はじめ理事会のみなさま、本学術集会の開催にご賛同くださった会員のみなさまがたに、心より感謝申し上げます。

 
 

 日本家族看護学会は、故杉下知子先生(東京大学名誉教授)のリーダーシップの下、日本における家族看護学の発展を目的として1994年(平成6年)に発足しました。第1回と第2回の学術集会は、今回の会場と同じ本郷キャンパスの安田講堂で開催されました。今回、第28回学術集会を安田講堂で開催したいと考えたのは、学会設立の原点に立ち返る意味もあります。

 
 

 日本家族看護学会は、当時まだ数少なかった看護系学会として先駆的に設立されました。実践のための学である看護学は、しばしば既存の学問では扱いきれないような事象を実践のうちに含んでいます。特に、複数の家族員を対象とすることもある家族看護学研究においては、家族看護実践の本質を見失うことなく新しい知見を得るために、より一層注意深い取り組みが求められます。進取の気性に彩られて発足した本学会における家族看護学の一層の展開を期して、学術集会のテーマを「勇気をもって、新たな知の冒険へ」としました。

 
   Withコロナという新たな時代に突入した私たちは、市民のためどのような家族看護を提供してゆけばよいのでしょうか。今後10年間の新たな展望を考えるためのプログラムを、多数準備しました。特別講演は「新たな感染症の時代の看取りと悲嘆」と題して、上智大学グリーフケア研究所所長の島薗進先生にお願いしました。教育講演は、「ビッグデータで見えてくる家族の健康」と題して東京大学大学院教授の康永秀生先生に、「看護実践の事例研究の学術性」と題して東北医科薬科大学教授の家高洋先生にそれぞれお願いしました。3つのシンポジウムは、Withコロナの時代の家族看護学への第一歩を踏み出すこと、研究方法の更なる多様性と新たな実践の枠組みを創ることを期して企画し、まったく異なる学術的・実践的アプローチから家族看護学への提言をお願いしました。
 
   学術集会の形態として、今回は敢えてオンサイト(安田講堂)とオンラインのハイブリッド開催、オンデマンド配信付き、というチャレンジングな企画をいたしました。このような学術集会のあり方も、私どもにとって「勇気を持った新たな知の冒険」の一部と言えます。本学術集会が、参加者のみなさまの家族看護実践・家族看護学研究を変革するような実り多いものになるように願い、世界中からの多くのみなさまのご参加をお待ちしています。
   
  2020年11月25日

 

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