第31回日本産業衛生学会全国協議会を開催するにあたり、皆様に心からのご挨拶を申し上げますとともに,今回の学会の内容と開催地となる三重県についてご紹介します。

 本学会のメインテーマは「経済社会と健康:ポストコロナの産業衛生を考える」です。わが国経済の低迷と人口構造の高齢化が進む中で,突然のようにして新型コロナウイルスが出現しました。経済社会のあり方は大きく変化し、産業衛生学が目的とする働き方の変革の意味と意義が問われています。作業環境の在り様は変わり,産業衛生の内容も方法も大きな変革期を迎えようとしています。中世ペストのパンデミック後にルネッサンスが興隆しています。今回の学会は,産業衛生学自身が,これまでの歴史を踏まえつつ新しい世界情勢の中で自らを変革する意志を明らかにし,その目的と方法論について隣接する諸科学との対話の中から新しい変革の方向性を探る機会にしたいと考えております。

 開催地となる三重県は東西文化の地政学的分岐点にあるといわれ,文化の融合と発信に見るべきものが数多くあります。近世にあって古事記神代の心を近代に投影した本居宣長,文学において俳諧を芸術に昇華せしめた松尾芭蕉,現代にあって四日市公害の疫学と克服に画期的な事績を残した吉田克己名誉教授(三重大学)が光彩を放っています。そして,変動する歴史の中で不動点のように変わらぬ伊勢の神宮は,社会変動のなかで存在感を増しています。ポストコロナの産業衛生の新しい原点を考える場所と時間となることを希望しております。

 最後になりましたが、本学会が皆様方にとって実り多く有意義なものになることを祈念しております。

 

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