大会長挨拶

第30回日本産業精神保健学会
 大会長 吉川徹
(独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所・統括研究員)

 平素より日本産業精神保健学会の活動にご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 第30回大会HP開設の挨拶に先立ち、2020年初頭から現在に至るCOVID-19パンデミックの中、産業精神保健の最前線で働く方々の精神保健診療や産業精神保健実務でご尽力されておられる皆様に、心から尊敬と敬意を表します。

 この度、2023年8月26日(土)から27日の2日間にわたり、第30回大会を開催させていただくことになりました。会場は日本赤十字看護大学(東京都渋谷区)のキャンパスです。

 第30回大会のテーマは「産業精神保健におけるAgilityとSustainability」としました。

 Agilityは機敏さ、素早さ、敏しょう性といった意味ですが、仕事の場面では、目まぐるしい環境変化への対応力の高さを表します。意思決定のスピードや効率、チーム編成や役割分担のフレキシビリティなどを含めた概念で、不確実性が高く、不透明な時代を、組織と個人が生き抜くためのキーワードです。刻々と変わるCOVID-19の流行は、世界中の働く人々の働き方に、物理的にも、心理的にも、個人にも組織にも、大きな変化をもたらしました。テレワーク、ウェブコミュニケーションへの対応、感染対策や負担軽減が進む中での、生産性やチームコミュニケーションのあり方、病院・診療所、産業精神保健実務でのAgilityに関する多くの経験が積み上がりました。AgilityはSustainabilityとも密接です。本大会も30周年迎えます。これまで本学会が培ってきた成果の上に、産業精神保健に関する次の世代を見据えた新しい課題を大会で取り上げます。また、国連が2015年に掲げた「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の取り組みについて、産業界・大学・政府組織・非政府組織を中心に積的な活動が国内外で展開されていることから、本大会もSustainableな産業精神保健について討議します。

 節目の大会にふさわしい、魅力的で多彩なプログラム、若手研究者や実務者の交流の場など新たな取り組みも検討しています。ぜひ多くの皆様にご参加いただき、活発かつ有意義な発表、討論がなされることを心より願っております。

2022年8月31日