大会長挨拶

第28回千葉県理学療法学術大会を開催します!

大会長 松田 徹(亀田リハビリテーション病院)

 現在、世界は国連が掲げた「持続可能な開発課題(Sustainable Development Goals, SDGs)」を達成し、皆が取り残されない多様性と包摂性のある未来を目指しています。SDGsは17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
 SDGsの開発目標のうち「3すべての人に健康と福祉を」は、ヘルスケアの専門家である理学療法士が直接的に関与する目標といえます。また「11住み続けられるまちづくりを」は、2025年に完成を目指す地域包括ケアシステムの構築そのものと捉えることもできます。さらに「9産業と技術革新の基盤をつくろう」では「Society5.0の推進」を目指しており、AI・ロボット等のテクノロジーの発展や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行に伴いリハビリテーション業界でもICT支援技術が注目されています。リアルだけではなくオンラインでのリハビリテーションの実践など地域での社会実装も進みつつあります。
 以上のようにSDGsの達成は我々理学療法士にとっても親和性の高い課題であり、またその達成に向けた取り組みが、我々理学療法士の存在価値をより高めていくものと考えます。  そこで本学会のテーマは「サステナブルな理学療法士の価値の創造」としました。現代の環境は複雑さと多様性を増していると共に、感染や災害等で将来の予測が困難な状況にあります。このような中、将来にわたり理学療法士の価値を持続的に創造するために2つの視点が考えられます。一つは既存の理学療法士の価値を進化(深化)させる視点、もう一つはこれまでにない新たな理学療法士の価値を創る視点です。いずれにおいても理学療法士の価値を持続的に創造できる人材の育成が重要な課題です。
 前者の視点としては、理学療法の対象となる疾患構造の変化への対応(高齢化進展により多疾患併存患者の増加や、呼吸・循環器疾患・がん患者の増加など)や科学的根拠に基づいた理学療法の提供が重要と考えます。一方、後者の視点として①リハビリテーション業界でのICT支援技術の活用、②地域包括ケアシステム推進による病院完結型医療から地域完結型医療へのシフトに伴う理学療法士活躍の場の拡大、③理学療法士の公的保険外での活躍機会の増加などが挙げられます。
 本大会では、持続可能な理学療法士の価値の創造につながる様々な実践を共有し議論や情報交換をすることで皆さまの明日からの臨床・教育・研究・管理を活性化する一助になればと考えています。そして、皆様にとっての理学療法士としての存在意義である“パーパス”の発見につなげられる機会にしていきましょう。

 本大会は、2023年3月5日(日)に城西国際大学東金キャンパスでの対面形式とオンラインでのハイブリッド開催を予定しています。COVID-19の流行後、オンラインでの研修会・学会に参加経験のある方は、知識の蓄積を目的とした場合、オンライン開催の便利さを実感されていることでしょう。しかし演題発表時のドキドキ感は感じにくく、興味がある分野を見つける偶発的な出会いもWebでは起こりにくいものです。対面開催は理学療法士としてのサステナブルな成長につながる人との出会いやご縁を見つける場でもあります。
 ハイブリッド開催は千葉県理学療法士会としても初めての取り組みであり、持続可能な学会運営という点でも大きなチャレンジとなります。新しい時代の幕開けとなるような学会を一緒に創ってみませんか。学会運営スタッフ一同、皆さまのご参加・ご発表を心よりお待ちしております。