会長挨拶
このたび、2026年3月14日(土)に山陰の文化が息づく鳥取の地にて、第18回学術集会を開催する運びとなりました。
この学術集会では、「看護を耕す―個と文化の狭間をみつめて」をテーマに掲げています。文化の多様化が進む中、異なる価値や信念が交差・衝突する場面は少なくありません。
こうした状況下で、看護が果たすべき役割を改めて考える機会にしたいと考えております。
文化(culture)は、「耕す(cultivate)」を語源とし、農業(agriculture)が大地を耕すように、人や社会を耕すことを意味していたといわれます。この意味において、文化看護学とは「看護を耕す」ことをめざした学だといえるでしょう。また、文化は個人を超えて存在するものですが、個人によって意識され、関係性の中に立ち現れてきます。異なる文化背景を持つ人々が看護の場で出会うとき、そこには「個」と「文化」の狭間に生じる新たな理解やケアのあり方が見いだされるはずです。
今回のテーマ「看護を耕す」は、文化の違いを困難としてではなく、対話を通じて相互理解を深め、新しいケアの形を「耕し」育む機会と捉える姿勢を象徴しています。多様な文化背景を持つ人々の価値観に耳を傾け、専門職としての視座を保ちながら、柔軟に応える看護実践の在り方を、皆さまと共に模索し、分かち合う場にしたいと願っています。
文化は意識しなければ存在しないともいえます。文化を意識することは、その解像度を上げることにつながります。本学術集会が、文化的感受性と自己理解を深める場となり、新たな視点と知見を分かち合い、看護の地平をさらに広げる一助となれば幸いです。
多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。
文化看護学会第18回学術集会 学術集会長
遠藤 淑美