大会長挨拶

第18回日本周産期メンタルヘルス学会学術集会
大会長 常盤 洋子
(新潟県立看護大学・大学院 教授(母性看護学・助産学)、群馬大学名誉教授)

 第18回日本周産期メンタルヘルス学会学術集会は、2022年10月22日~23日の2日間、群馬県高崎市にある群馬音楽センターで開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、オンライン開催(ライブ配信+オンデマンド配信)に変更しました。オンラインで開催することによってより多くの会員の皆様や周産期メンタルヘルスケアに関心を持っておられる皆様にご参加いただけることを祈念しております。
 2020 年 3 月にWHO が新型コロナウィルス感染症の全世界への拡大によるパンデミックを宣言してから3年目を迎えましたが未だに収束が見えないまま、「ニューノーマル時代」といわれるようになりました。コロナ禍で人との交流が制限され、孤立した状況の中で周産期を過ごす人々の「メンタル不調」が健康問題として浮上してきており、子どもを産み育てる女性や家族、子どもに関わる専門家の一人一人が持っている知識や経験を持ち寄り、共有することで、周産期メンタルヘルスケアの新たな方向を模索し実行に移す時期にきているように思います。
 今回の学術集会のメインテーマは、「昔にまなび未来につなぐ母性のちから~今、日本の母を支える~」です。コロナ禍だからこそ、日本人の子産み・子育ての中で脈々と受け継がれてきた母性の本質を紐解き、昔から大事にしてきた母性のちからを共有し、そのちからを大事にしながら今の時代にも通じるものは何か、新たな課題は何か、専門家は現代の母をどう支えればいいかを考える学会にしたいと思います。
 会長講演では、「母性を支える看護のちから」についてお話をし、周産期メンタルヘルスにおける多職種連携における看護の役割について考えたいと思います。また、本学会のメインテーマの主旨と招聘・特別講演、シンポジウム、教育講演の関連についてお話をいたします。
 招聘講演では、鈴木七美教授(国立民族学博物館グローバル現象研究部)をお招きして出産の歴史人類学からみえてきた「母性のちから」についてご講演をいただきます。
 特別講演では、安藤智子教授(筑波大学大学院 人間総合科学学術院 人間総合科学研究群)に臨床や地域での育児支援に活かすアタッチメント理論についてご講演をいただきます。
 また、「今、日本の母を支える」という観点から、「父性のちから」「家族のちから」「発達障害をもつ女性への支援」をテーマとした3つのシンポジウムを予定しています。
 教育セミナーでは、不安障害、パーソナリティ障害、看護師が行う精神症状のアセスメント等、医師や看護職、臨床心理士等、多職種に役立つセミナーを企画しています。
 本学術集会では、市民公開シンポジウムを行います。テーマは、「知って!使って!ママがこころを元気にするコツ」です。この市民公開シンポジウムを通して、専門家のメンタルヘルスケアを必要とする人が必要なときに受けることができるようなちからを備えることに貢献したいと考えています。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。