会長挨拶

第36回日本総合病院精神医学会総会 大会長
富田 博秋
東北大学大学院 医学系研究科精神神経学分野・
東北大学病院 精神科

第36回日本総合病院精神医学会総会を、令和5年(2023年)11月17日(金)と18日(土)の両日、宮城県仙台市の仙台国際センターにおいて、開催させていただくことになりました。

 本総会のメインテーマは「総合病院精神科と地域連携 ―緊急時から考える平時の医療ー」とさせていただきました。2020年1月30日、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言しましたが、当時から3年の長きに渡って、総合病院精神科医療に従事する私達も、刻々と変わる状況に応じて、この緊急事態への対応を余儀なくされてきました。その対応にはパンデミック状況下で如何に医療体制を維持していくかという守りの側面に加え、如何に地域の中で総合病院精神科としての役割を見出していくかという積極的な側面が含まれているように思います。総合病院精神科医療には、平時から院内での他科との連携、多職種間の連携に加え、地域の中の他の医療機関、組織との連携が重要ですが、コロナ禍下において、地域連携の重要性は平時以上に増しているように思います。

 また、コロナ禍は、人や組織の繋がりの重要性に加え、オンライン化・IT化といったシステムや技術の革新と実装化の必要性を改めて強く認識させられる契機となりました。平時の保健、医療においても、限られた時間やマンパワーで質の高い医療保健サービスを提供するためには、システムや技術の開発と実装化は不断に検討し、進めるべき課題と考えられます。

 本学会総会を、12年前に東日本大震災によって壊滅的な被害を受け、復興の途上にある東北・宮城の地で開催するにあたり、緊急時から考える平時の総合病院精神科の医療のあり方について改めて考える機会とできればと存じます。

 依然、大会前後の感染状況について予断を許さないところではありますが、状況をみながら最大限にアクティブな学術交流の機会となるように大会運営を行いたいと存じます。会員各位、関係の皆様のご協力を心よりお願い申し上げます。