会長挨拶
ご挨拶
第34回学術集会を2024年7月6日(土)・7日(日)の2日間、大阪国際会議場で開催させていただくことになりました。今回、第34回目の学術集会で初めての大阪府開催となり、オンデマンドでの開催も予定いたしております。
2022年に「こども基本法」が制定され、また、“こどもまんなか”をスローガンに2023年4月にこども家庭庁が発足し、こどもを主体とした考え方・かかわりの重要性が社会で謳われています。しかし医療の場でも、まだまだこどもの主体性を尊重したかかわりが浸透していない現状があります。こどもに行われることへのこども自身への説明・伝えることのあり方、病院生活を送るこどもの日常生活の選択権など、私達がこどもを主体とした医療について再度見直し、真剣に取り組む必要があります。
また、貧困、虐待、ヤングケアラー、宗教二世、トランスジェンダーなど、こどもを取り巻く社会も多様化・複雑化しています。さらに2023年4月26日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した長期の人口動向を示す将来推計人口によると、日本の少子化は進み、2038年には出生数が70万人を下回り、70年には45万人まで減る見通しです。2070年の総人口は今の7割の8700万人まで減少し1割は外国人となり、その割合は現在の5倍となる見込みです。そのため、年々、在住外国人や外国籍のこどもが増加し、益々こどもを取り巻く社会の多様化・複雑化が予測されます。
そこで、本学術集会テーマを、「多様化・複雑化する社会の中で生きる“こどもの力”を育む」といたしました。
こどもとかかわる看護職は、今後、多様な価値観と文化、育ちを背景にもつこどもとかかわる準備、そして覚悟が必要になります。そのため、特別講演2題は、多様性を理解するためのひとつとして国際性を視野にいれた講演内容とし、1題は多民族国家である米国でのケアの考え方や現状等についてZOOM録画(日本語字幕)といたしました。
社会の中で、多様な背景のこどもたちが自分のもつ力や権利を理解し、自分の置かれた状況に主体的に向き合う力を育み、幸せに健やかに成長発達することを目指し、私達が今、取り組まなければならないこと、将来を見据えて準備をすすめなければならないことをディスカッションしてまいりましょう。
企画委員一同、新な時代に備えるための企画を準備し、皆様の参加をお待ちしております。
日本小児看護学会第34回学術集会
学術集会会長 加藤 令子
関西医科大学看護学部・看護学研究科こども看護学教授