プログラム・日程
会長講演
食道癌バイオマーカー研究 ~日本食道学会で学んだこと~
司会:金子 弘真(東邦大学.名誉教授)
演者:島田 英昭(東邦大学大学院.消化器外科学講座・臨床腫瘍学講座)
理事長講演
日本食道学会の現況と展望
司会:島田 英昭(東邦大学大学院.消化器外科学講座・臨床腫瘍学講座)
演者:土岐 祐一郎(大阪大学.消化器外科)
プレナリーセッション
1. ここが知りたい 食道癌診療ガイドライン改訂のポイント【指定】
司会:北川 雄光(慶應義塾大学医学部.外科)
加藤 健(国立がん研究センター中央病院.頭頸部・食道内科)
コメンテーター:宇田川 晴司(虎の門病院分院.消化器外科)
食道がんの治療は、この5年間で、今までで一番大きいといっても過言ではないほどの、劇的な変化を遂げました。
手術療法、薬物療法、放射線療法と、それらを組み合わせた集学的治療により、成績は向上していますが、それらを日常診療に落とし込むものが、このガイドラインです。
2022年6月発刊を予定している新しい食道癌診療ガイドラインの改訂ポイントについて解説します。
接合部CQについては胃癌治療ガイドラインと共通化されています。
2. ここが知りたい 食道癌取り扱い規約改訂のポイント【指定】
司会:土岐 祐一郎(大阪大学大学院医学系研究科.消化器外科)
武藤 学(京都大学大学院医学研究科.腫瘍薬物治療学講座)
コメンテーター:桑野 博行(福岡市民病院)
日本食道学会取り扱い規約委員会では第12版の改訂を2022年度に発行を予定しています。
第11版との違いやUICCのTNM分類第8版との整合性などわかりやすく解説します。是非、皆様の実臨床に活かしていただきたいと思います。
シンポジウム
1. 食道癌・接合部癌における免疫チェックポイント阻害剤の意義と課題【公募】
(主として治療戦略における位置づけについて)
近年、食道癌、食道胃接合部癌、胃癌領域で、免疫チェックポイント阻害剤 (ICI)を用いた第III相試験のポジティブな結果が相次いで報告されています。2021年11月、進行食道癌一次治療ではICIと化学療法の併用が、また、術後補助療法ではICI単剤療法が新たに保険適用となり、長らく不変であった食道癌の標準治療が大きく変わろうとしています。食道癌は、複雑な病態を呈することが多い一方で、治療モダリティとしての選択肢も多い疾患です。実臨床の立場から、一次治療のみならず二次治療以降の後方ラインも見据えて、あるいは周術期治療において、適切なICI治療とそのポジショニングについて、また、問題点や課題など、最新の知見をご報告ください。
2. ロボット手術における現状と課題【公募】
食道癌に対するロボット手術は2018年4月に保険収載されて以降、症例数は劇的に増加し、ロボットの多くの利点により反回神経麻痺を含めた合併症低減による術後QOLの向上が期待されている。しかし、ロボット手術の有効性は明らかではなく、症例を積み重ねることで克服すべき課題も見え始めている。食道癌に対するロボット手術の工夫を含め利点と欠点について治療成績を踏まえて提示いただき、将来展望を論じて頂きたい。
3. 食道癌放射線治療の未来~陽子線・重粒子線~【公募】
食道癌治療においても日々進化する放射線治療の応用が進んでいるが、今回は粒子線治療を中心とした治療戦略や粒子線治療の未来について最新の知見をご紹介いただく。
4. 内視鏡診断-病理診断との整合性 最新の知見【公募】
拡大内視鏡や特殊内視鏡の実用化によって、内視鏡診断と病理診断との境界が接近している。両者を駆使することで、実臨床でどのような利便性・有用性があるか、最新の知見をご紹介いただきたい。
5. 食道癌におけるバイオマーカー・予後因子【公募】
食道癌の治療戦略を検討する際には、TNMステージのみならず全身状態や年齢、さらには各種バイオマーカーも加味したあらゆる予後因子を考慮する必要がある。本シンポジウムでは、基礎的検討や臨床試験での新知見、さらには各施設で実際に使用している臨床に即した実践的なバイオマーカー・予後因子についてご紹介いただきたい。
6. 食道癌ゲノム診断と治療の現状【公募】
難治性腫瘍に対するゲノム診断が実用化されたことで、食道癌症例においてもゲノム診断が日常的となってきた。
しかしながら、実際の治療まで到達できる症例は検査を受けた症例の10~15%と言われ、さらに食道がんでは少ないといわれている。食道癌ゲノム診断・治療の現状と今後の展望を紹介いただきたい。
7. 食道癌・接合部癌 治療における免疫チェックポイント阻害剤の適切な患者選択は?CPS?TPS?【公募】
(主として治療効果予測・判定・バイオマーカーについて)
食道癌薬物療法に関して直近1年間は、各種の臨床試験結果が報告された歴史的な1年間でした。
すでに免疫チェックポイントをめぐる様々な報告がなされていますが、適切な患者対象や、やめ時など、まだ疑問点があります。特に、CPS,TPSと治療効果との関連性については、まだまだデータが十分ではありません。チェックポイント阻害剤の治療効果判定や治療効果予測など、みなさまのご経験と最新の知見をご紹介いただきたい。
8. 全周性表在型食道扁平上皮癌における内視鏡的治療のストラテジー【公募】
リンパ節転移リスクの低い表在型食道扁平上皮癌は内視鏡治療の良い適応であるが,全周性病変では高度狭窄が必発であり計画的に治療戦略を講じながら行う必要がある.また,ESD病理検索の結果から追加治療を行う必要性の高い症例では,治療開始の妨げになることは避けたいものである.全周性病変に対する内視鏡治療の治療戦略,適応の決め方や狭窄に対する手技の工夫・治療成績について最新の知見も含めてご発表頂きたい.
9. 食道発がん(腺癌、扁平上皮癌)に関する新知見と臨床へのインパクト【公募】
本邦の食道癌は扁平上皮癌が90%を占め、飲酒、喫煙と強い相関が示されている一方、従来、5%程度であった腺癌が漸増している。扁平上皮癌におけるfield cancerizationの概念、ALDH2遺伝子多型やFusobacterium感染との関連、腺癌における逆流性食道炎、Barrett上皮研究など、食道発癌、進展に関する最新の知見を、生活習慣の時代的背景も含めて基礎、臨床を問わずご紹介いただきたい。
ビデオシンポジウム
1. 再建法をめぐる話題:大腸再建、小腸再建?後縦郭?胸骨後経路?吻合法は決着したのか?幽門形成はどうする?【公募】
胸部食道癌切除後の消化管再建術は、術後合併症のみならず術後のQOLに大きな影響を及ぼすが、再建術式にはまだまだ多くの課題が残されている。本セッションでは、再建臓器、再建経路、吻合法まで様々な観点から、消化管再建術式のビデオ提示いただき、最適な消化管再建法を解説いただきたい。
2. 食道癌手術における安全で確実な胸部操作【公募】
食道癌に対しては、比較的早期の癌からCRT後のサルベージ手術まで進行度を問わず様々な手術アプローチが用いられているが、胸部操作にはまだまだ解決するべき課題がある。シンポジストにはアプローチを問わず「安全かつ根治的」であることを最優先とした手術方法のビデオプレゼンテーションを期待している。
3. 胸部食道癌手術における腹部操作HALS or LAP【公募】
胸部食道癌手術における腹部操作はHALSとLAPのどちらかを選択することが一般的と思われる。
わずかな皮膚創の違いではあるが、手術時間、胃の愛護的操作、術者の手の大きさ、患者の肥満度、など比較考察する論点は多い。
それぞれの利点・欠点についてビデオでご紹介いただきたい。
ワークショップ
1. 食道癌周術期栄養管理をめぐる最新の話題【公募】
食道癌手術成績向上のために、周術期栄養管理の重要性は明らかである。しかし、栄養管理の適切な指標とくに予後と関連する指標とその時期や、それを標的とした栄養介入の方法、さらにその有効性の評価法など、議論すべき課題は多い。本ワークショップでは、各施設における周術期栄養管理の工夫とその成績についてご発表いただき、活発にご討論いただきたい。
2. 食道癌リキッドバイオプシー最前線【公募】
消化器領域のゲノム診断においてもコンパニオン診断薬として、ctDNAを対象としたリキッドバイオプシーが保険適用となり標準装備された。CTC、エキソソーム、ctDNA、miRNA、自己抗体などプロミシングなターゲットが数多く報告されており、様々な血液診断を用いて治療戦略を構築する時代となりつつある。本ワークショップでは食道癌のリキッドバイオプシーの最前線の知見と現状での問題点をご紹介いただきたい。
3. GERD 最新の知見【公募】
GERD症状を主訴として受診する患者が急増している。ボノプラザンの登場によりGERD診療には変化がみられており、2021年にガイドラインの改訂が行われたが、ボノプラザンと既存のプロトンポンプ阻害薬との使い分けや薬物抵抗性GERDの病態解明など、依然として克服すべき課題も少なくない。本セッションでは、プライマリケアから難治性の病態に関する研究まで、様々な最新の研究成果を期待したい。
4. 食道癌単独肝転移、肺転移の治療戦略は?【公募】
遠隔転移・血行性転移を有する食道癌は標準的には根治治療の対象とならない。
一方、単独・単発転移症例やoligo-metaと呼ばれる少数の転移症例では集学的治療によって根治の得られた症例報告も散見される。
また、最近の薬物療法の進歩に伴って、従来は根治治療の対象とならなかった症例においても根治を狙える症例が増えてきた。
本セッションでは、予後改善を目指した単独肝転移・肺転移症例に対する治療戦略について論じていただきたい。
5. 食道癌に対するウイルス治療、ワクチン治療の最前線【公募】
食道がん治療分野においても、食道がんの生物学的知見に基づいたトランスレーショナルリサーチが進んでいる。
前臨床研究から第1相~第3相臨床試験レベルまで多様な臨床開発が試みられており、保険適応までにはまだ若干の検証が必要ではあるが、画期的な治療戦略として有望なシーズも認められてきている。
動物レベルから臨床試験まで、近い将来に実用化が期待される研究最前線をご紹介いただきたい。
6. 最新のステージング【公募】
近年のEUS、CT、PET、MRI等の診断機器の進歩は、形態診断の精度向上と質的評価法の開発により、治療前stagingのみならず、治療効果判定、down staging評価、conversion surgery適応判定からsalvage surgeryの効果予測にいたるまで、複数の診療局面に寄与している。本ワークショップでは、現時点の画像診断の到達点と課題を共有し、将来を展望したい。
7. 根治的CRT後のサーベイランスはどうするか?【公募】
CRT後のCR症例においてフォローアップはどのような検査でどのような間隔で行うのがベストか。再発リスクの予測も含めてご紹介いただきたい。
8. 食道機能異常をめぐる最新の知見【公募】
食道アカラシア取り扱い規約第4版が2012年に出版されてから10年が過ぎようとしている。近年食道機能評価の手段としてHigh resolution manometryが最適であり、簡便な食道クリアランス評価としてTimed barium esophagogramもよく知られている。また2020年シカゴ分類version 4.0が提案され、食道運動機能障害は新たなる展開を見せている。本セッションでは、食道アカラシアのみならず、すべての機能異常症に関する最新の知見の発表を期待する。
ディベート
1. 頸部食道癌の治療 CRT or 咽喉食摘 or 喉頭温存手術【公募】
頸部食道癌は腫瘍が体表に近く,癌の拡がりも頸部に限局することが多いため,たとえ気管浸潤がある様な進行癌であっても喉頭を合併切除することによって根治的に切除することが可能である。しかし、それは声を永久に失うことを意味し、患者のQOL大きく損なうことになる。一方、喉頭温存で根治的に切除し得たとしても腫瘍が咽頭・喉頭に近いため,治療後には発声機能,嚥下機能に何らかの障害が残る可能性が高く,根治性とQOLの両立を図りつつ,病変の位置,進行度,患者背景などを考慮して個別に治療法を選択する必要がある.本セッションではCRT,咽喉食摘,喉頭温存手術の治療成績をお示しいただき,根治性とQOLの両面からそれぞれの治療法の利点,欠点を論じていただきたい.
2. 領域外リンパ節転移薬物療法後CR症例:手術する?しない?【公募】
食道癌根治切除(治療)後の領域外リンパ節再発(特に少数個のoligo LN metastasis)に対しては、初回治療として化学療法などの全身療法が行われることが一般的である。一方、全身療法でCR(good PR)が得られた場合の追加治療についてはコンセンサスは得られていない。本セッションでは、初回治療でCR (good PR)が得られた領域外oligoリンパ節再発症例に対する局所治療の是非についてディスカッションしていただきたい。
3. 広範囲T1aあるいはT1b症例はESDかCRTか?手術か?【公募】
臨床的にリンパ節転移のない表層拡大型T1食道病変においては、ESD、CRT、手術のいずれも治療選択になりうるが、術前診断、治療選択の判断、有害事象や治療後の病理結果に基づくマネージメントなど、未解決の課題も多い。本ディベートでは、内科、外科、放射線科それぞれの立場からの意見を聞き、実臨床に役立つセッションになることを期待する。
4. 75歳以上進行食道癌はNACか?手術先行か?【公募】
切除可能な局所進行癌に対しては術前化学療法後の食道切除が本邦での標準治療であるが、その根拠となった臨床研究は75歳以下が対象であり76歳以上についてエビデンスがない。治療方針も原則手術先行の施設もあれば条件を決め術前治療を行っている施設もあると思われる。本セッションでは術前治療を行う施設、手術先行の施設それぞれの立場から、短期および長期成績、また合併症軽減のための試みを含め、討論していただきたい。
5. 胸腔鏡か?ロボットか?利点欠点を徹底検証する【公募】
本邦では,食道癌手術の約8割が胸腔鏡下に実施されており,標準的治療となっている.一方,ロボット支援下手術の実施件数は,2018年に保険収載されて以来,急激に増加している.両者の利点, 欠点について評価が定っておらず検証すべき点が多い.理想的な食道癌手術とは何か,そのような手術を実現するためにどのような理論や技術,トレーニングが必要か,それぞれの立場から動画や臨床データを示しながら,ご討議いただきたい.
6. 根治的CRT後の遺残再発がcT1bN0M0の場合、salvage治療は?【公募】
根治的CRT後のsalvage治療は、手術を中心に、ESD、PDTなど症例に応じて各施設の基準で行われている。一方、遺残再発が局所の表在癌のみの場合は通過障害もほとんどなく、高度侵襲を伴うsalvage手術を施行することに躊躇するのも事実である。低侵襲性と根治性のバランスを考慮したCRT後cT1bN0M0に対するsalvage治療の戦略、成績を議論いただきたい。