会長挨拶

一般社団法人 日本家族看護学会 第33回学術集会
学術集会長 
瓜生 浩子

高知県立大学 看護学部 教授

 このたび、「日本家族看護学会第33回学術集会」を2026年 8月29日(土)・30日 (日)の2日間にわたり、高知市文化プラザかるぽーとにおいて開催させていただくこととなりました。

 日本家族看護学会は1992年に発足し、2024年には設立30周年を迎えました。家族の小規模化や多様化、少子高齢化が進むなか、健康問題や医療は複雑さを増しており、病者を含む家族全体をケアの対象として捉え、家族の健康と機能を高めることを目指す「家族看護」の必要性はますます高まっています。

 今回の第33回学術集会は、メインテーマを『コンフリクトから調和を生み出す家族との伴走』といたしました。療養の場においては、情報量や知識の差による物事の見え方の違いや、価値観や大事にするものの違いなどから、健康問題や療養に関連して家族内や家族と医療者などの周囲の人々との間で様々なコンフリクトが生じることがあります。家族内にコンフリクトを抱え揺れる家族や周囲との対立に苦悩する家族を前にして、看護者は、共に歩む姿勢をもって各家族員の体験や思いに深く迫りながら、コンフリクトの背景で何が生じているかを紐解くことが重要です。そして、家族と伴走しながら、共に解決策を考えたり、間を取り持ったりすることで、当事者双方が歩み寄って妥協点を見つけたり、異なる意見を融合させることで新たな視点が見出されるなど、調和を生み出すことができると考えます。
 そのため、本学術集会では、コンフリクトを抱える家族への支援について、家族内や家族と支援者の間で生まれるコンフリクトを紐解く、コンフリクトから調和を生み出す方略を考える、コンフリクトを抱える家族との伴走のあり方を学ぶなど様々な視点から、また看護の知と他分野の知を融合させながら検討できるようなプログラムを考えております。

 高知県は美しい自然、豊かな食文化、歴史的名所が揃っているだけでなく、人と人との繋がりを大切にする県民性があり、初めて会った人とも家族のように仲良くなれる不思議な魅力がある街です。学術集会が開催される8月下旬は夏真っ盛りの暑い時期ですが、ご参加の皆様と共に熱い意見交換ができますことを楽しみにしております。多くの皆様のご参加を、心よりお待ち申し上げます。

一般社団法人 日本家族看護学会 第33回学術集会
会長 瓜生 浩子
(高知県立大学看護学部 教授)