シンポジウム
シンポジウム1
『Design of nucleic acids and DDS for NEW generation RNA therapy』
秋田英万(東北大学大学院薬学研究科)
阿部 洋(名古屋大学大学院理学研究科)
本シンポジウムでは、DDS学会における核酸研究分野の最新動向と展望を紹介します。核酸分子は、遺伝情報を担う生命の基本物質であり、その機能や構造を利用して新しい医療技術を創出することができます。しかし、核酸分子は不安定で効率的な送達が困難なため、DDS技術の開発が必要です。本シンポジウムでは、国内外の第一線で活躍する研究者が核酸分子設計やDDS技術の進歩により実現された核酸医薬の事例を紹介し、今後の課題や方向性について議論します。基礎から応用まで幅広いトピックスに関する講演が行われます。本シンポジウムは、DDS分野や核酸研究分野に関心のある研究者や学生、企業関係者などを対象としています(英語でのシンポジウムです)。
Development of LNP targeting the lymphatic system
櫻井 遊、秋田英万(東北大学大学院薬学研究科)
Complete chemical synthesis of mRNA
阿部 洋(名古屋大学大学院理学研究科)
Heteroduplex oligonucleotide (HDO) targeting lymphocytes and macrophages
永田哲也、横田隆徳(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
siRNA delivery (tentative)
Muthiah Manoharan(Alnylam Pharmaceuticals)
シンポジウム2
(国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)
ワクチン・新規モダリティ研究開発事業共催シンポジウム)
『ワクチン開発における先導的アジュバント・キャリア研究と技術支援体制』
國澤 純(医薬基盤・健康・栄養研究所 ワクチン・アジュバント研究センター)
宮田完二郎(東京大学大学院工学系研究科)
新型コロナウイルス感染症の社会的影響もあり、ワクチンの重要性が改めて認識されています。mRNAワクチンの事例でも分かるように、ワクチンの成功の鍵を握るのが、「ワクチン抗原を送達するDDS」「ワクチン抗原に対する免疫応答を制御するアジュバント」になります。今回の講演では、粘膜ワクチンやアレルギーに対するワクチンなど新しいワクチンの可能性も含め、ワクチン開発の最新動向を紹介いただくと共に、DDSの可能性について議論したいと思います。
免疫制御分子を用いたワクチン開発
國澤 純(医薬基盤・健康・栄養研究所 ワクチン・アジュバント研究センター)
プログラム細胞死を基盤とした新規アジュバント開発
黒田悦史(兵庫医科大学医学部)
IgA多量体抗体による感染症の予防と治療
新藏礼子(東京大学定量生命科学研究所)
アジュバント搭載薬物送達システムによる免疫制御
中村孝司(北海道大学大学院薬学研究院)
標的細胞指向性脂質の開発とワクチン/アジュバント・キャリアへの応用
松永直哉(九州大学大学院薬学研究院)
シンポジウム3
『新素材で拓くスマートDDS』
荏原充宏(物質・材料研究機構)
中山正道(東京女子医科大学先端生命医科学研究所)
本シンポジウムでは、「新素材」という観点からDDSを考える。既存の概念にとらわれない新たなDDSへのアプローチの探索のためには、それを支える新素材の開発が欠かせないことは疑いの余地がない。本シンポジウムでは、糖応答性材料、細胞浸透性材料、赤外線応答性材料、骨指向性材料など、ユニークでスマートな材料を用いた治療戦略について講演いただく。DDSのmodality innovationのためにも、材料開発の重要性についてあらためて議論する機会になれば幸いである。
ボロン酸の分子認識を駆使したDDS
松元 亮(東京医科歯科大学)
細胞凝集塊に高速浸透するナノキャリアの設計
森本展行(島根大学)
近赤外光で駆動するナノマテリアルによるセラノスティクス
上村真生(東京理科大学)
骨指向性ポリリン酸エステルの設計と機能
岩崎泰彦(関西大学)
シンポジウム4
『DDS研究開発を加速するデジタルイノベーション』
有馬英俊(第一薬科大学薬学部)
山下富義(京都大学大学院薬学研究科)
デジタル技術は、データの収集、分析、解釈に新しい方法を提供することで、創薬・医薬品開発に革命をもたらすと期待されている。機械学習やAIが、膨大な量の生物学的データや臨床データを統合・分析、特徴抽出を行うことで、新規の創薬ターゲットを特定し、治療法を開発する。また、ウェアラブル端末などのデジタル機器や技術により収集されるデジタルバイオマーカーは、健康状態のモニタリングだけでなく、治療の効果・安全性を客観的かつ定量的に測定する指標ともなり、臨床試験の加速はもちろんそもそものあり方を変貌させる。 本シンポジウムでは、こうした可能性に溢れる近未来のデジタル社会においてDDS開発がどのように変わるのか、多領域からのエキスパートを集めて熱く討議したい。
ワクチン開発へのAI応用
山下慶子(日本電気株式会社AI創薬統括部)
エクソソーム含有タンパク質から解析する病態進行機構と診断マーカー
星野歩子(東京工業大学生命理工学院)
DCTの現在と未来へ向けた課題 日本の臨床試験存続のためにDCTの側面から考えること
北尾 彩(武田薬品工業株式会社日本開発センター)
DDSと医療DX
近藤昌夫(大阪大学大学院薬学研究科、大阪大学感染症総合教育研究拠点)
シンポジウム5
『肝動脈塞栓療法とDDS:臨床の立場から』
田中利洋(奈良県立医科大学放射線科)
高木治行(兵庫医科大学放射線科)
肝動脈塞栓療法は、肝臓ガンの栄養動脈に塞栓物質を注入して血流を遮断し、兵糧攻めにして治療する方法です。1980年代に本邦で開発され、現在は肝臓ガンの標準治療として世界中で行われています。しかし、ここ数年、本法の治療成績向上は認められていません。今後更なる治療成績向上を目指すには、従来の枠組みにとらわれないアプローチが必要と思われます。特に、最新のDDSを組み入れることで、より効果の高い、次世代の肝動脈塞栓療法が開発できるのではないかと期待しています。このシンポジウムでは、日常的に肝動脈塞栓療法に関わっている4名の臨床医が、その現状と課題を紹介します。本シンポジウムを通じて、DDSを専門とする研究者の皆様にも肝動脈塞栓療法に興味を持っていただき、この分野への参入をお願いできればと思います。
肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)の現状
田中利洋(奈良県立医科大学放射線科)
肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)と全身薬物療法との併用療法
佐藤洋造(がん研有明病院超音波診断・IVR部)
肝動脈化学塞栓療法(TACE)による癌微小環境の変化
上嶋英介(神戸大学放射線診断・IVR科)
次世代肝動脈塞栓療法の開発
高木治行(兵庫医科大学放射線科)
シンポジウム6
『細胞および細胞外小胞で拓く創薬モダリティ』
高橋有己(京都大学大学院薬学研究科)
中瀬生彦(大阪公立大学大学院理学研究科)
細胞および細胞から産生される細胞外小胞は、従来の治療法では根治が困難であった疾患の治療をも可能とする、新規の創薬モダリティになりえると大きな期待が寄せられる。一方で、細胞および細胞外小胞は従来医薬品として使用されてきた低分子医薬品や抗体医薬をはじめとしたバイオ医薬品とは、物性や取扱・調製法、体内動態特性などその特性が異なり、最適化が必要となる。特に、その体内動態特性は従来の医薬品とは大きく異なることから、創薬モダリティとして確立するためには体内動態の制御を可能とするDDS技術の開発が必須である。本シンポジウムでは、細胞および細胞外小胞を利用したDDSの開発の現状についての最新の知見を紹介するとともに、その新規創薬モダリティとしての可能性についても議論したい。
細胞外小胞を利用したDDSの確立と免疫療法への適用
高橋有己(京都大学大学院薬学研究科)
細胞分泌小胞のDDS利用と中分子戦略
中瀬生彦(大阪公立大学大学院理学研究科)
間葉系幹細胞の効率的な肝送達による肝疾患治療効果の増強
草森浩輔(東京理科大学薬学部)
細胞外小胞を用いた肝硬変に対する線維化改善、修復療法の開発
寺井崇二(新潟大学大学院医歯学総合研究科)
磁場を利用した細胞医薬の組織滞留性の向上
河野裕允(神戸薬科大学)
シンポジウム7
『次世代モダリティ医療を拓く非肝臓デリバリー技術の新機軸』
金沢貴憲(徳島大学大学院医歯薬学研究部(薬学域))
安楽泰孝(東京工業大学 物質理工学院)
近年、モダリティの多様化に伴い、アンメットメディカルニーズを満たす医薬品が次々に開発されるなど、医療は急速な進化を遂げている。一方で、経口・注射による血液循環を介したいわゆる従来の全身デリバリーでは薬物送達困難な臓器・組織の疾患に対する医薬品の開発は進んでいない。このような背景に対して本シンポジウムでは、眼、脳、骨、腎臓、筋肉、がんといった薬物送達困難な臓器・組織に対して、新しいコンセプトに基づく独創的なDDS研究を推進する5人の研究者に、自身のDDSについて実例を交えて概説して頂き、最新の情報を共有・整理することで、次世代モダリティ医療を担う新機軸のDDSの現状について、理解を深める場としたい。
網膜への高分子送達に向けた関門突破型ペプチドの輸送機構とその評価系構築
赤沼伸乙(富山大学薬学部)
脳内への効率的な薬剤送達を実現するDDS開発
安楽泰孝(東京工業大学 物質理工学院)
アルブミン相互作用タンパク質を利用した新たな薬物輸送システム
異島 優(京都薬科大学 医療薬科学系 薬剤学分野)
アミノ酸修飾を利用した骨または腎臓へのターゲティング型ドラッグデリバリーシステムの開発
勝見英正(京都薬科大学)
サイズに基づく組織特異的核酸医薬デリバリー
宮田完二郎(東京大学大学院工学系研究科)
シンポジウム8
『革新的DDS製剤の品質評価の最前線』
近藤昌夫(大阪大学大学院薬学研究科)
阿部康弘(国立医薬品食品衛生研究所薬品部)
医薬品は、品質、有効性・安全性を確保するため、国際的に規制調和した、厳格な薬事レギュレーションを遵守した上で開発することが求められる。一般的な製剤に比して、DDS製剤は複雑な高次構造を有するため、高度な製造技術と品質管理が求められ、目的とする機能に応じた品質評価法の確立が不可欠であり,ここにDDSで拓く創薬モダリティイノベーションの難しさがある。本シンポジウムでは、mRNAワクチン、抗体薬物複合体、マイクロニードル、DDS素材(ポリエチレングリコール)などについて、品質評価の現状および課題を整理し、本邦発の革新的DDS製剤開発の加速に資する機会を提供したい。
AMEDにおけるDDS技術の研究開発支援について
福田悠平(日本医療研究開発機構(AMED)創薬事業部医薬品研究開発課)
DDS製剤の規制動向と品質評価
阿部康弘(国立医薬品食品衛生研究所薬品部)
ポリエチレングリコール(PEG)における抗原性の起点と免疫原性につながる作用点
白石貢一(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター)
mRNAワクチンの脂質ナノ粒子設計と凍結乾燥
鈴木裕太(エーザイ株式会社DHBL Discovery Evidence Generation Functionエマージングモダリティジェネレーション部RNAメディスングループ)
抗体薬物複合体の品質評価について
中野歩希(医薬品医療機器総合機構(PMDA)再生医療製品等審査部)
マイクロニードル医薬品の評価法についての国際動向と国内での検討
伊豆津健一(国立医薬品食品衛生研究所薬品部)