ご挨拶
第39回日本DDS学会学術集会 大会長
西川元也
(東京理科大学薬学部)
2023年7月27(木)、28日(金)に、第39回日本DDS学会学術集会を千葉県千葉市の幕張メッセ国際会議場にて開催いたします。依然として新型コロナウイルス感染が収束しない中、「withコロナ社会」における新しい生活様式が模索されています。第36回、37回の日本DDS学会学術集会はハイブリッド形式で、第38回は完全オンライン形式で開催されましたが、2023年の第39回は幕張メッセ国際会議場での現地(オンサイト)開催を予定しております。
近年、創薬モダリティが大きく変革し、薬物治療において主流であった低分子医薬品に加えて、抗体医薬品、核酸医薬品、遺伝子治療用製品、細胞医薬品など、多種多様なモダリティが医薬品として開発されるに至っています。その中には、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンとして承認され、効果だけでなく、その応用可能性の大きさが実感されたメッセンジャーRNA医薬品も含まれます。感染症による制約が多くある中ではありますが、この事例からもわかりますように創薬モダリティは急速に拡大・発展しています。新しいモダリティの開発が困難であった理由としては、低分子医薬品とは異なりこれらのモダリティでは生体膜透過や細胞取り込み、標的組織への送達などの過程に障壁があることが挙げられます。こうした課題を解決するのがドラッグデリバリーシステム(DDS)です。新しいモダリティの医薬品開発においては多くの場合DDSが必須です。すなわち、新しい創薬モダリティにおけるイノベーションを拓くスイッチがDDSだと言えます。
そこで第39回日本DDS学会学術集会を開催するにあたり、大会テーマを「DDSで拓く創薬モダリティイノベーション」としました。新たな創薬モダリティの本命である核酸医薬品や細胞医薬品に関して、本学術集会では、東京医科歯科大学の横田隆徳先生と山口大学の玉田耕治先生に特別講演を依頼しました。横田先生には、中枢を標的とする核酸医薬品の開発について、玉田先生には、固形がんを対象としたCAR-T細胞療法についてご講演いただきます。また、シンポジウムでは、核酸医薬品やmRNA医薬品、細胞・細胞外小胞に加えて、ワクチン開発におけるアジュバント・キャリア研究やDDSに利用可能な新素材、DDS製品の品質評価などを取り上げます。皆様と、盛夏の季節に、暑い千葉で、熱い議論をする交流の場にしたいと考えております。ご参加、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。