ご挨拶
第129回日本解剖学会総会・全国学術集会を2024年(令和6年)3月21日(木)~23日(土)、沖縄県那覇市にて開催します。明治26年(1893年)第1回総会が東京帝国大学によって主催され、以後130年間続く伝統の学術集会ですが、これまで沖縄県内で開かれたことは無く、沖縄本土復帰50周年を経て、その最初の機会となることを大変嬉しく感じております。
解剖学は、形を論ずる学問であり、生命科学の中で最も長い歴史を持ちます。肉眼観察から始まり、光学顕微鏡・電子顕微鏡と機器の進歩によって、対象はナノレベルまで広がりました。同時に、免疫組織化学法など染色法・標識法の開発、光遺伝学、コンピューター技術の導入により、形にとどまらず機能も論ずることが出来るようになりました。生理学、生化学、遺伝学などと結びついて、生命科学の中に溶け込んでいます。研究者のあくなき探求心と、サポートする機器・手法の開発により、ますます生命現象の本質にせまるでしょう。
そんな今、“解剖学ってなに?”という根源的な問いが浮かびあがってきます。医学・医療系の教育において、解剖学、組織学は独立して重要な位置にあります。また、形態を解析することで見えてくる世界があります。Seeing is believing. 生命現象の説明に形態は必須です。必要性・重要性は明確なのですが、生命科学の中に溶け込んだ結果として、“解剖学“の形が見えにくくなっている気がします。本学会のタイトルは、“解剖学の新しい扉をひらく ~これまでを振り返り、これからを考える~”としました。これまでの解剖学研究の歴史を振り返り、その意義を確認する機会を作りたいと思います。解剖学だからできること、開かれる世界観について考える特別講演を企画しています。そのうえで、“新しい扉をひらき”、解剖学教育、解剖学研究の将来について考える機会になればと願っています。
メイン会場の「那覇文化芸術劇場なはーと」は、那覇市の中心部に位置し、観光地として有名な国際通りは歩いて3分ほどの距離にあります。空の玄関口那覇空港と世界遺産首里城を結ぶモノレール(ゆいレール)の駅から徒歩6分と、交通の便が極めて良い場所です。行動制限が緩和され、通常の生活が戻りつつあります。開催時期は、沖縄地方の最も過ごしやすい季節でございます。是非とも多くの方々にお集まりいただき、熱気のある学問の会話が広がる大会としていただきますよう、お願い申し上げます。
グスーヨー ウチーナーンカイ メンソーチ ウタビミソーリ
(みなさん、沖縄にお越し下さいませ)
第 129 回日本解剖学会総会・全国学術集会
会頭 高山 千利
琉球大学 大学院医学研究科 分子解剖学講座