ご挨拶
第127回日本解剖学会総会・全国学術集会を、2022年3月27日~29日の3日間開催いたします。医学および関連する分野で最も歴史のある本学会全国学術集会(以下、本大会)を主催させていただけることを大変嬉しく感じております。
解剖学、もしくは形態学では、ヒトをはじめとする生き物を広く対象とし、命を支えるさまざまな仕組みを、分子から細胞、そして組織や諸器官など様々なレベルで解き明かし、3次元構築を拠り所とし、統合的に理解することを目的の一つとしています。その理解に至る営みを支える根幹は観察であり、それゆえ本大会では学会のテーマを「命の基を観解く(いのちのもといをみとく)」とさせていただきました。
解剖学は、古くからの学問ではありますが、近年の分子生物学や光学技術・コンピューター技術などの関連分野の急速な進歩のおかげもあり、扱う対象や観察できる範囲が飛躍的に広がり、生きて活動する様子をありのままの状態で観察し、命の仕組みに直接介入することも可能となりました。これらの進歩は、解剖学・形態学に大きな変革をもたらし、生命科学の基盤をなす学問体系として改めてその重要性が高まるとともに、目指すところでもある生命の理解も、従来とは全く異なった次元で可能となっております。生命の理解の深まりに伴い、創薬に代表されるベッドサイドへの還元も大変進んで参りました。
本学術集会では、残念ながらいまだ収まらないCOVID-19の状況を鑑み、大阪の地での対面形式ではなく、完全Web形式での開催に変更させていただきました。参加の方々には、直接対面で交流していただくことは残念ながらできませんが、大会においては、Webならではの利点も生かし、上述の広く先端的な研究を国外からもご講演いただく機会を多く設け、繰り返し視聴に適した教育コンテンツも配信いたします。参加された皆様には、どうぞ最新の成果をご披歴いただき、学問を進め交流を深めていただく機会となりますことを願っております。
本大会の実施に当たっては、日本解剖学会の理事会、各種委員会に大変お世話になりました。トラベルアワードの選出は、教育委員会にお願いしました。また学生セッションは、将来ある学生諸君が発表を通じ得難い経験を得られる貴重な場ですが、若手育成委員会の全面的なお力添えをいただきました。ここに改めてお礼申し上げます。
開催形式は変更となりましたが、参加しがいのある有意義な大会となるよう関係者一同努める所存ですので、よろしくお願いいたします。
第127回日本解剖学会総会・全国学術集会
会頭 佐藤 真