第39回日本呼吸療法医学会学術集会を,2017年7月15日(土)~16日(日)に,東京ビッグサイト(東京都江東区有明)TFTホールと,隣接するTFTビルを会場として開催させていただきます.開催にあたりまして,会員の皆さまはもとより,多くのご協力を賜りました関係各位に心より御礼申し上げます.
「人工呼吸研究会」から始まった本学会も次第に会員数が増え,現在では医師のみならず,看護師,臨床工学技士,理学療法士,薬剤師など,急性期から慢性期,新生児から高齢者まで,幅広い分野の呼吸療法に携わる多くの職種によって構成される大規模な学会へと大きく変貌を遂げました.かつて,私自身も,安定したPEEPを得るために定常流回路の呼気側末端を水中に没した呼吸回路を手作りして「water-CPAP」や「ブクブク-CPAP」などと称していた時代を経験していますが,このような歴史を知る会員は,現在では極めて少数派になってしまいました.また,特にARDSの呼吸管理で当時は常識・鉄則とされていた事柄の多くが,現在では否定されてガイドライン化されています.もともと人工呼吸管理をはじめとする重症患者管理の領域は,厳密な意味での盲検化無作為比較試験が行いにくく,ある事柄で一時期大きく片方に傾いても,その後に揺り戻しが生じることをしばしば経験する領域でもあります.このような本学会の歴史を踏まえ,また,「我が国の呼吸療法」全般についての進歩を振り返る意味も込めて,今回の学術集会のテーマを,「呼吸療法,温故知新」とさせていただきました.
学術集会プログラムとして,まず特別講演は,私の恩師であり,かつて昭和天皇の手術を執刀医として担当された経験をお持ちでもある森岡恭彦先生に,昨今話題の「研究者の倫理」についてお話しいただけることになりました.また,他の企画プログラムと演者の多くは,プログラム作成ワーキンググループで検討していただきました.6本の招請講演や14本の教育講演は,国内外の第一人者に様々な角度から切り込んだお話しをいただけます.他にもシンポジウムやパネルディスカッション,ワークショップ,Pro-Con,医工連携からHFOVフォーラムまで,幅広い職種の参加者に急性期から慢性期,小児から高齢者まで,幅広く「故きを温ねて新しきを知り」,今後の我が国の呼吸療法の進歩に寄与できる内容になったものと自負しております.企画プログラムに公募演題をお寄せくださった多くの皆さまにも,改めて感謝申し上げます.
海外からの招請演者は4人で,過去数年の学術集会に比べると少ないかもしれません.しかし,国内多職種の学術集会への海外演者招請の必要性については議論のあるところでもあり,今回は私の我儘を通させていただいた結果の4人です.もちろん,海外演者の講演にはすべて同時通訳を準備しておりますので,活発なディスカッションをお願いします.
最後に,一般演題にも多くの応募をいただきました.前回会長の西田 修先生に倣い,今回もBest Presentation Award候補演題のセッションを設けました.ただし,今回は応募いただいた一般演題に対するプログラム作成ワーキンググループの査読結果に私の判断を加味し,すでに候補演題は3演題に厳選されております.表彰台は決まっていますが,どの演題が表彰台の真ん中に登ることができるか,お楽しみいただけると幸いです.結果発表と表彰は,会員懇親会で行います.
猛暑の時期での開催ですが,放射熱の少ない東京ウォーターフロントでの学術集会を通して,幅広い領域の多職種間の交流を期待しております.
多数の皆様のご来場を心からお願い申し上げます. |