会長挨拶

第27回日本成人先天性心疾患学会総会・学術集会
大会長 坂田 泰史
大阪大学大学院医学系研究科循環器内科 教授
皆様、第27回成人先天性心疾患学術学会へようこそ。
本学会は、成人期に達した先天性心疾患患者さんの診療や研究を推進するために、医師、看護師、医療従事者の皆様が一堂に会する重要な機会です。急速に進化する医療技術により、今や多くの先天性心疾患の患者さんが成人期に到達しています。しかし、成人期におけるケアには小児期とは異なる新たな課題が生じており、医療チームとしての協力がますます重要になっています。
現在、成人先天性心疾患(ACHD)は黎明期を経て過渡期に入ったと感じます。多くの若い医療従事者がACHDの存在を意識し、真剣に取り組まれております。そのため次々新しいアイデアが生み出され、ACHD診療が注目された存在となっていますが、真に望まれるのは、ACHD診療が特別視されず、さりげなく行われることです。その理想的な状態を目指して、私たちは診断・治療・インフラ整備を進めていかなければなりません。
具体的には、診断分野では画像診断やバイオマーカーの充実が求められ、治療分野では低侵襲的カテーテル治療や手術、薬物治療に関するエビデンスの向上が必要です。さらに、社会インフラとしての啓発活動、難病者のサポート、医療支援、そして患者さんの生活と医療の両立支援が重要な課題です。
本学会では、最新の診療ガイドラインや治療法に関する講演、また、医療現場での実践的な経験を共有する機会を多数ご用意しています。さらに、多職種連携の重要性についても考察し、様々な視点から意見を交わすことで、共により良い医療を提供していくための道筋を見出していきたいと考えています。
皆様のご参加と貢献により、学会がさらに有意義なものとなることを心から期待しています。会期中の数日間、有意義な時間を過ごされ、貴重な知識と経験を共有されることを願っています。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
第27回成人先天性心疾患学術学会 大会長
大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学
坂田 泰史