ご挨拶

 第25回 日本アロマセラピー学会学術総会を開催するにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。

 第25回学術総会は、感染拡大防止のため、2021年に引き続き完全WEB配信にての開催となりました。会員の皆様、並びにオンラインでの開催準備にご尽力下さっております関係各位に、心より感謝申し上げます。
 さて、今大会では、「森と植物の恵みを享受するアロマセラピー ~かおり研究の最前線から健康を考える~」をメインテーマとして掲げました。
 日本にアロマセラピーが導入されて約30年が経過し、会員の皆様は、それぞれの臨床領域現場でさらに知見を広め実績を積んでいらっしゃることと存じます。
 本大会では、将来における適正使用のガイドライン作成を視野に入れ、精油のエビデンスとしての基礎研究をご紹介するとともに、医療従事者による、臨床現場における様々な精油の活用実績をご報告いただきます。ここで展開される数々の発表が、会員の皆様の各臨床領域での活動と、アロマの世界をいっそう活気づけ発展させるものとなることを確信しております。
 今般のパンデミックは私たちの生活を否応なく変え、それに伴うストレスを多くの人々が抱えることになりました。いまだ出口の見えない中、ストレスの緩和や癒しを求めると同時に、自らの体調ケアに対する関心も高まっています。かおりの効果が求められる分野は、ますます広がりつつあるようです。
 折しも地球温暖化による環境破壊への危惧が叫ばれ、またSDGsが広く認識されるようになったタイミングでのコロナ禍は、一方で、新たな価値観へのシフトというポジティブな変化をも、もたらしました。豊かな森林に恵まれた日本において樹木や植物の持つ力を研究し、人々の健康に貢献している私たちだからこそ、森林や植物の価値、それらを守り維持し、共生していくことの大切さを、未来に向けて提言できるのではと考えます。
 かおり研究の成果は、次世代に手渡すことのできる財産となるでしょう。そのような決意を新たにしつつ、本大会開催のご挨拶とさせていただきます。