ご挨拶

第35 回日本疫学会学術総会 会長
安田 誠史

国立大学法人 高知大学医学部公衆衛生学教室 教授

謹啓

時下、益々のご清栄のこととお慶び申し上げます。

 この度、第35 回日本疫学会学術総会の会長を仰せつかり、2025(令和7)年2月12日(水)~2 月14 日(金)の 3 日間にわたり、高知市文化プラザかるぽーとにて開催させていただくことになりました。四国地域では初開催の学術総会です。

 第35回学術総会のテーマは「レガシーに立脚する疫学研究のインベーション」といたしました。近年の疫学研究には、多くの研究の連携による対象集団の大規模化、遺伝因子,代謝性因子,生活行動因子,環境因子を網羅し相互関係性も踏まえる精緻な曝露評価、リアルワールドの大規模データを用いての曝露とアウトカムとの関連解析、関連のメカニズム解明をめざしての因果推論手法の導入など、多種多様な潮流が押し寄せています。疫学研究者には、押し寄せる潮流に上手く乗って、科学的根拠の構築および研究成果の社会実装という本流を進み、集団と個人の健康課題克服という目的地へ向かうことが求められています。しかし、人口減少と経済停滞が続く日本では、疫学研究を支える人材、資金、施設・設備のどれにおいても拡充が困難になっています。幸いなことに、日本には高水準の成果発信の実績を有する疫学研究のレガシー(やがてレガシーとなるはずの進行中の研究も含めます)があります。レガシーの活用によって、直面する困難を克服する道筋が開けることがあるはずです。会員の皆様にレガシーを最大限活用する視点を取り入れて研究活動を拡充していただき、日本発イノベーションをめざす気概を高めていただく機会にしたいと考えています。

 第35回学術総会の開催形式は、現地参加を基本としオンライン参加も可能なハイブリッド形式です。会員の皆様に、活発な討議と人的ネットワークの構築を通して、研究活動を前進させる機会としていただけるよう準備を進めます。例年より約2週間遅い開催のためにご迷惑をおかけする点があることは心苦しいのですが、多くのご参加を心よりお待ち申し上げます。

 高知市街から徒歩圏内にある会場は、高知城,桂浜,県立牧野植物園などへの移動の拠点となるはりまや橋に近接しています。高知県には鰹のたたきと日本酒に代表される豊かな食材があります。第35回学術総会へのご参加が、開催地域の風土と食をお楽しみいただく機会にもなれば幸いです。

謹白

2024(令和6)年4月吉日

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