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 このたび、伝統ある第62回日本臨床ウイルス学会を担当させていただき大変光栄に存じます。本学会はとても思い出深い学会であります。私は昭和60年頃、学位の勉強に北里研究所にお世話になっておりました。その当時ご指導をいただきました牧野慧先生が臨床ウイルス学会を主幹されたときお手伝いさせていただき、非常に勉強になる学会であった印象があります。牧野慧先生には、AIKCの開発者として有名でありましたが、臨床ウイルス学のイロハや論文の書き方を熱心にご指導いただいたばかりでなく、最も重要な医師としての心の持ちよう、さらに人間としてのありかたまで教えていただき、心から感謝しております。当時の北里研究所の先生方には今でもお世話になっております。

 さて、第62回日本臨床ウイルス学会のテーマは「新興再興感染症への挑戦」とし、新型コロナだけでなく、インフルエンザなど他のウイルスを含めての有意義な会となればと思っております。内容としては、教育講演、特別講演、シンポジウム(一つはウイルス学会との共催)、一般演題を予定しています。コロナウイルスの特集(シンポジウムを予定)も考えております。臨床ウイルス学は、診断法や治療の進歩により様変わりしてきています。遺伝子検査や病態、免疫の部門での進歩は目を見張るものがあります。臨床ウイルス学のドラスティックな進歩を参加の方々に楽しんでいただければ幸いです。

 本学会ですが、ご存じのように、新型コロナウイルスの影響により、齋藤昭彦先生が主幹されております第61回臨床ウイルス学会はWEBで開催することになりました。現状では、コロナウイルスが来年度にまったくなくなるということは予想できません。このため、第62回の本学会は比較的時間があることから、WEB開催(Live配信、オンタイム配信とオンデマンド配信)とし、計画の初期段階から準備したいと思います。WEB開催の良さを反映できるよう、多数の皆様が参加している気持ちになれる学会にできればと考えております。慣れないことも多数ありますのでご迷惑をおかけすることもあるかと存じますが、何卒ご了承のほど宜しくお願いいたします。

 コロナ流行の時代にあって、本学会の果たす役割はとてつもなく大きなものとなっております。社会の構造、海外からの輸入感染症、低出生体重児の増加、疾病の変化、人口構成の変化など、本学会に求められていることが増えてきています。会員全員が、この新しい時代を切り開く志を感じられる学会になればと思っております。当日にWEBで皆様にお会いできるのを楽しみにしています。

   
  令和2年8月末日
  第62回日本臨床ウイルス学会   会長
東京医科大学小児科・思春期科学分野 主任教授
河島尚志