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つくば市観光復興宣言

 第39回日本潰瘍学会のお世話をさせていただくことになりました東京理科大学薬学部臨床薬理学の谷中昭典と申します。このたび伝統ある本学会の会長を拝命し、大変な名誉と感じております。ここで、皆様に、一言ご挨拶申し上げます。
 去る3月11日に発生した東日本大震災は、東北・関東地方を中心とした広汎な地域に未曾有の大災害をもたらしました。茨城県も大きな揺れと津波により多数の方々が被災し、また今回の学会会場のあるつくば市には、一時、多数の方々が原発事故の難を逃れて避難して来られました。この度の大震災により不幸にして亡くなられた方々やご遺族の皆様に衷心よりお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様には、心からお見舞い申し上げますとともに、被災地域の一日も早い復興をお祈り致します。
 日本潰瘍学会(旧日本実験潰瘍学会)は、当初、消化性潰瘍の病態解明、及び治療予防法の開発を目的に設立されましたが、その後、潰瘍研究の歴史的変遷に伴い、研究対象を、潰瘍性病変だけでなく、消化管領域を中心にした炎症、発がん、免疫異常、機能障害などに拡大し、現在に至っています。本学会の特徴は、基礎と臨床、医学と薬学、アカデミアと企業という異なる分野の研究者が一堂に会して、潰瘍の成因、病態、治療、予防などに関して議論を深める場を提供することにより、潰瘍に対する新しい治療・予防法の開発を目指すことを目的とする点にあります。我が国には、消化管領域を対象とした学会は数多く存在しますが、潰瘍研究に関する多分野の研究者が一堂に会する学会は、本学会の他に見受けられません。
  来る第39回学会は、H23年11月18日(金)、19日(土)の2日間、筑波研究学園都市の中心部にありますつくば国際会議場で開催させていただく予定です。今回の学会では、特に「医薬連携による潰瘍研究」をテーマとして取り上げることに致しました。私は医学部を卒業後、長期間、消化器内科に身を置き、最近になって、薬学の世界に移り4年近くになりますが、最近感じますことは、医学と薬学という二つの学問が、双方とも医療という同じ領域に係わる学問でありながら、実際には全く異なる文化的土壌を有し、また双方が相手を余りよく知らないということであります。そのような背景の中で、我が国における今後の潰瘍研究を継続的に発展させていくためには、医学・薬学、双方の研究者が、相手の文化の特性や、長所、短所をよく理解したうえで、研究と教育の両面において双方の連携を深めることが極めて重要であると考えております。以上の観点から、今回の学会では、特に医学と薬学の連携研究、あるいはアカデミアと企業の連携研究において、何が必要であるのかを考える機会にしたいと考えております。
  本学会は、これまで数多くの内外の著名な研究者の講演を通じて、異分野の研究者との交流や共同研究の機会を我々に提供してくれました。また、若手研究者には、演題発表を通じて異分野の研究者と真剣勝負の議論をさせる機会を提供することにより、次世代の研究者を育成するという重要な役割を果たしてきました。私も、本学会を通じて多くの先輩に育てられてきた研究者の一人であると自覚しております。これまで長きにわたり、私たちが諸先輩から引き継いでまいりました潰瘍研究の灯火は、私たちの手で、次世代の若手に引き継いで行かなければなりません。今回の学会では、その引き継ぎ役としての役割を少しでも果たせるように、有意義なプログラムを企画したいと考えております。
  幸いなことに、つくばは震災の被害は軽微であり、すでに市内は震災前の平穏を取り戻しており、都心からのアクセスとなるつくばエクスプレスも、現在ほぼ平常ダイヤで運転しております。  11月半ばのつくばは、紅葉がピークを迎え、特に研究学園都市の銀杏並木が見頃となります。11月には安心して皆様をお迎えできるものと確信しております。
  私どもの教室はまだ歴史が浅く、教室員の数も少ない状況で、皆様には何かとご不便をおかけするかもしれませんが、教室員一同、心をこめて皆様をおもてなしできますよう精一杯尽力する所存でございます。
  今後とも、ご指導、ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。 (平成23年5月)