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プログラム

  第35回体液・代謝管理研究会年次学術集会 プログラム【PDF】
 

タイムテーブル

  日 時:2020年2月22日(土)
場 所:上條記念館
テーマ:「いまさら聞けない輸液の話」
 
  10:00~11:00 「術中輸液の考え方の流れ―不足を補うから適正化へ」
 講師 飯島 毅彦(日本麻酔科学会専門医講習)
  11:20~12:20 「Perioperative fluid management - Controversies and recent advances」
 講師 Dr.Ann Merete Moller (日本麻酔科学会専門医講習)
  12:40~13:30 ランチョンセミナー「輸液は腎臓を守るか」
 (東邦大学小竹良文教授 日本光電提供)
  13:30~13:40 総会
  13:40~15:00 pro con 「腎機能と輸液」
  15:20~16:20 「気化器はなぜ重いのか?--- from 気象学 to 麻酔科学 ---」
 講師 木山秀哉先生 (日本麻酔科学会専門医講習)
  16:40~17:20 イブニングセミナー(予定)「術中の血糖管理」
    懇親会
 
  ※学術集会運営の都合上、変更が生じることがございます。予めご了承ください。
 
 

教育講演1

  Perioperative fluid management - Controversies and recent advances
Professor Ann Merete Møller
Cochrane Anesthesia Reviewer
Department of Anaesthesia. Herlev University Hospital
   
  "術中輸液療法には歴史的な背景があるが、体液の生理学を考えて輸液療法を考えなければならない。サードスペース、不感蒸泄についてもこれまでの研究結果から検討しなければならない。輸液療法の考え方には、輸液を制限するrestrictive management および 水分バランスをできるだけプラスにしないようにするzero fluid balanceが脚光を浴びており、外科手術の一部ではすでにエビデンスは得られているもののさらなる検討が必要である。Zero fluid balanceは術中のみならず術後にも利益のあるものであるかも考えてみたい。演者はCochrane systemic reviewerのメンバーであるが、この輸液療法に関する評価をエビデンスレベルで十分に検討したい。これらのエビデンスを検討した後に実際の輸液に関係する心血管合併症、腎合併症、腸管の縫合不全、創傷治癒について紹介し、GDT(Goal Directed Therapy)の根拠についても解説する。最後に我々が現在多施設で行っているGAS-ARTstudyの結果も紹介する。
 

教育講演2

  術中輸液の考え方の流れ―不足を補うから適正化へ
飯島 毅彦(昭和大学歯学部全身管理歯科学講座歯科麻酔科学部門)
   
  近代の輸液療法の概念は、出血に対して以下に対応するかを中心に構築されてきた。出血は体液量の喪失を伴うので「不足した体液量」をいかに補うかという考え方から始まっている。体液は十分に足りていれば、ショックに陥るのを防ぐことができると考え、「十分な量」を補うことが重要であると考えられて来た。しかし、時代も移り変わり、外科手術も十分なシミュレーションに基づいて行い、思わぬ出血に悩まされる頻度も低くなってきた。このため、十分量を入れてきた輸液療法では、過剰輸液の弊害が問題になってきた。これまで考えられてきた不足分として過大評価されてきたサードスペース、NPO、不感蒸泄といった考え方が再評価されるようになったのである。術後の回復を促進させようという周術期管理の考え方の流れから術後の体液量の±バランスをもとに輸液療法を考える方向が示されている。これまでの輸液量の計算式から考えればバランスを考えた輸液療法は「制限輸液(restrictive)」と考えられるが、投与される生体にとっては体液バランスを保つ方法であると考えられる。
 

教育講演3

  気化器はなぜ重いのか?--- from 気象学 to 麻酔科学 ---
木山 秀哉(東京慈恵会医科大学麻酔科学講座)
   
  調節性に富む薬剤や最新医療機器は麻酔の安全性を大きく向上させました。しかし日々使っている薬剤・器械のことを私達はどこまで理解しているでしょう?揮発性麻酔薬を投与するのに不可欠な気化器もその一つです。気化器が重いのはなぜか、デスフルラン用気化器は電源に接続するのにセボフルランの気化器はなぜ電源が不要なのか、こんな疑問を感じたことはありますか?麻酔科学とは無縁と思われる気象学の基本的概念、「蒸発」や「湿度」から臨床の小さな謎の解明につなげます。高校時代に学んだ自然科学が確かに麻酔科学を支えていることを知って、皆様の観察眼が一味違うものになれば幸いです。