島田療育園の小林堤樹先生が1975年第1回重症心身障害研究会を開催されてから 40年目の節目を迎えた昨年の第 41回日本重症心身障害学会学術集会は、椎木俊秀会長の下、当学会が果たしてきた成果や貢献、さらに今そして今後の課題について熱心に議論され盛会の内に幕を閉じました。 50年に向けての第1歩を踏み出す第42回当学術集会は、一人でも多くの障害を持つ子ども達に長年にわたって蓄積されてきた高度な療育資産の恩恵が行き渡るよう、在宅支援をテーマと致しました。入所している重症心身障害児者と重症心身障害児者施設近隣の地域では、十分な支援が得られていますが、施設から遠隔の地、郡部そして広い北海道では、療育特に医療的関わりを受ける機会に乏しいのが現状かと思われます。この様な地域は、第 1次産業が中心で、国民の食糧基地としてさらに景観・国土保全という国の重要な役割を担っている一方、過疎も進んでいます。
国は地域活性化を掲げていますが、障害児の療育に関しても何らかの方策が求められなければなりませんし、療育資源(医療・福祉・教育)の連携強化が強く求められています。しかし、『どこに住んでいても等しく療育の機会が得られるようにする』との課題は、市町村任せでは実現困難であり、少なくとも都道府県単位の課題かと思われます。
第42回当学術集会では、二つの方向からこの点を話し合って頂くこととしました。先ず、シンポジウム Ⅰとして、在宅支援のあり方-支援方法ーの面から、そしてシンポジウム Ⅱで、求められる支援内容を話し合って頂くこととしました。
◎特別講演 1では、北海道を縄文・弥生時代より理解して頂けるよう白滝ジオパーク名誉館長の木村 英明氏から、考古学的知見をもとに講演して頂くことと致しました。
◎特別講演 2では、豊田市こども発達センター センター長の三浦 清邦氏から、人材育成・確保の面からの講演を頂き、医師をはじめとする療育スタッフの人材確保と後継者対策を考えることと致しました。
◎教育講演は、横浜訓盲学院 学院長の中澤 惠江氏に、 1979年から始まった特殊教育義務化以来の重度重複障害児の教育について、元国立特殊教育研究所重複障害研究部室長の経験から教育面からのアプローチのあり方についての講演を予定しています。
◎重症心身障害児者の在宅支援のあり方としてのシンポジウム Ⅰ-支援方法-は、座長を東北大学大学院医学系研究科准教授の田中 総一郎氏にお願いし、法人として熱心に早期療育を含む在宅支援を行ってきている長岡療育園の小西 徹園長、公立施設として全県的な療育体制を構築され実践している鳥取県立総合療育センターの汐田 まどか院長、そして早期療育システムが構築されて 28年経過した北海道について北海道保健福祉部、さらに受益者の立場から北海道重症心身障害児(者)を守る会 会長の太田 由美子氏の4氏から現状を熱く語って頂き、特に郡部での重症心身障害児者に対する施策のあり方を学ぶこととしました。
シンポジウム Ⅱ-支援内容-は、多摩地区の在宅支援を長年にわたり実践している島田療育センターはちおうじ所長の小沢 浩氏を座長に、必要とされる支援内容について話し合って頂きます。シンポジストは、小児科医の立場から長年にわたって広範な地域で在宅支援を実践している北海道療育園の林 時仲氏、フットワーク軽く必要とあらば遠隔地にも足を運ばれている生涯医療クリニックさっぽろの土畠 智幸氏に重度の在宅重症心身障害児者への関わりについて、理学療法の立場から元旭川療育センターの齋藤 大地氏、作業療法の視点から元北海道立子ども総合医療・療育センターの金田 実氏に実践経験を交え討論頂くことにしました。
◎会長講演では、国立療養所で重症心身障害児者との関わりをもってから今まで障害児者や彼らを通して学んだことを中心に述べる予定です。
恒例のファッションショーは、午前の最後の時間帯を検討しています。
その他、ランチョンセミナーは館内の移動も考慮し検討中です。
多くの学びと提言が得られ、在宅支援のあり方のヒントが得られますよう準備を進めてまいります。
大勢の会員の皆様のおいでをお待ちしています。
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