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第24回日本気胸・嚢胞性肺疾患学会総会開催にあたり

   
 

第24回日本気胸嚢胞性肺疾患学会総会は誌上開催となります。

   
 

 第24回日本気胸嚢胞性肺疾患学会を浜松市で開催すべく準備してまいりましたが、新型コロナ感染症が再拡大している現状を踏まえますと開催を断念せざるを得ない状況と判断いたしました。多数の演題ご応募をいただいた会員の皆様、本学会総会のためにご尽力いただいた皆様また協賛企業の皆様には誠に申し訳ありませんが、浜松市での開催を中止とし、誌上開催となりますことをご理解いただければ幸いです。

   
 

 第24回日本気胸・嚢胞性肺疾患学会総会を令和2年9月4日(金)、5日(土)にアクトシティ浜松コングレスセンターで開催させていただくにあたりひとことご挨拶申し上げます。歴史ある本会の会長にご指名いただき大変名誉なことで会員の皆様に深甚なる感謝を申し上げます。お陰様で本会の静岡県での開催は初めてのことであります。

 

 テーマを「歴史に学び、今を知り、未来を拓く」といたしました。気胸の歴史はヒポクラテス(BC460-BC370)の時代の膿胸治療にさかのぼります。アレクサンダー大王(BC356-BC323)がインド遠征の際のBC325年肺を矢で射られましたが奇跡的に回復しその後約2年間統治の頂点に君臨し続けた記載があります。すでにこの時代には穿通性胸部外傷に伴う外傷性気胸に対する治療知識があったと思われます。一方、自然気胸の診断はなかなか容易ではありませんでした。気胸の存在が認識されたのは18世紀になってからで当初は剖検によってはじめて胸腔内の異常な空気の存在が指摘されました。18世紀末から19世紀初頭にかけて打診法、聴診器が開発され理学診断の基本が整い、病理解剖が積極的に実施されるようになってきて気胸の概念が一般の医師にも普及するようになりました。診断が可能になると慎重に症例を選択しながら胸腔穿刺による治療が始まりました。穿刺では改善しなかった症例にドレーンの先端をボウルの水につけた持続ドレナージが初めて実施されたのは1873年でした。気胸診断の画期的な革新は1895年RoentgenによるX線の発見でした。気胸はそれまで結核の合併疾患と思われていたのですが自然気胸の存在が認識されるようになったのでした。

 

 ポスターには明治初頭の名著「七科約説」(浜松市在住 伊東政好氏所有)を主として「息(おき)神社」の社号額、弁天島の夕景を配しました。「七科約説」は1874年5月刊行の米国ペンシルベニア大学ヘンリー・ハーツホルン教授著「Conspectus of the medical science」の翻訳本で、浜松在住太田用成らにより1878年に刊行されたものです。肺気腫の図は木版彫師鞍智逸平の手によるものでその繊細な画像は浮世絵の流れをほうふつとさせます。気胸は胸気病と記載され肺気腫と鑑別を要するとされています。705年創建の「息(おき)神社」は延喜式にも記載されている古社です。浜松市西区にあり、呼吸に関する名称をつけられた国内唯一の神社で風の神といわれる志那津比古が祭られています。呼吸器病学を学ぶものは一度お参りをしておくとよいかもしれません。弁天島の鳥居から臨む夕日は次の日の繁栄、まさに未来を拓く太陽を表しています。

 

 浜松ではなんと申しましても鰻がおいしいですし、浜松ギョウザ、豊富な海の幸もお楽しみください。マスコミで有名な「さわやか」のハンバーグは食事時には行列ができますが、一度はお試しください。会場の近くには浜松地ビールレストランがありますし、お土産には定番のうなぎパイ、マスコミでも人気の治一郎のバウムクーヘンもお勧めです。皆様には是非とも第24回総会にお越しいただき、浜松を満喫していただければと思います。

   
 

 今回は浜松にお出ましいただくことはかないませんが、新型コロナ感染症が終息しましたら折をみておいでいただければと思います。