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会長挨拶

 1997年の香港でのH5N1の高病原性鳥インフルエンザ、2007年の成人麻疹、大学キャンパスでの百日咳の流行、2009/10年のH1N1パンデミックと感染症は社会をゆるがしワクチンに対する社会的要求が強くなりました。特異的な治療法の確立されていないウイルス感染症では予防薬としてのワクチンは重要な働きを担っていました。一方、細菌感染症に対しては早期診断・抗菌剤の投与により制御できると思われてきましたが、欧米では1980年代から細菌感染症に対しても予防医学の観点から抗生物質の探索からワクチン開発へとシフトしてきました。つい最近まで細菌感染症に対しては「ワクチンはいらない。抗生剤で」の考え方が主流で1990年代の後半でも多くの臨床医にはインフルエンザ桿菌ワクチンの存在すら知られていませんでした。2008年に認可された後、7価肺炎球菌ワクチン、ヒトパピローマワクチンと相次いで認可され勧奨接種となりつつあります。
  予防医学の重要性がやっと見直されつつあり、新聞で、テレビで、学会でワクチンギャップについて語られ、MMR訴訟から積極的なワクチン対策をとってこなかった行政責任が重い、アメリカにあるようなワクチンについて政府に助言を行う専門委員会(Advisory Committee on Immunization Practices: ACIP)の設立が必要だ、ワクチンメーカーは弱小で開発能力がない、等々の批判がみられます。具体的な提言を含め、今少しずつ動き始めています。
  社会の多くの人たちは、義務教育、高校・大学の授業の中で自分の身体のこと、健康であること、感染症・病気のこと、ワクチンの果たしてきた役割などは全く学んできておりません。ワクチンギャップなどの話しになると最終的には「教育と啓発」が課題であるという結論に至ります。欧米における教育は小さい時から実践されておりワクチンを接種して感染症から守られる。そして周りに感染を広げないワクチン接種の意義が染み付いているように思われます。ワクチンギャップに関してワクチンの品目は揃ってきましたし、ワクチンに対する考え方も変わりつつありますが、ワクチンギャップの次にはエデュケーションギャップがきます。今の教育体制からはエデュケーションギャップを解決するには数十年が必要です。
  「感染症・ワクチン:教育と啓発 マジでしないと」を第15回ワクチン学会のテーマとして、教育・啓発のための具体的なアプローチについて考えてみたいと思います。テーマにかかわらず多くの一般演題を募集いたします。 
よろしくお願いいたします。