この度、第51回日本甲状腺外科学会学術集会を主催させて頂くことになりました。本会は、1968年に甲状腺外科検討会として発足し、1998年から甲状腺外科研究会となり、2006年からは甲状腺外科学会として、わが国の甲状腺外科診療と研究の最先端の意見を討論する場として、多くの先輩方の努力により発展して参りました。2008年には日本甲状腺外科学会と日本内分泌外科学会は、共通の専門医制度を創設しました。また、2014年より一般社団法人日本専門医機構が設立され、日本外科学会も基本領域18学会の1つとなりました。甲状腺外科学会は内分泌外科学会と共に専門医機構の2階建て部分(Sub-Specialty)『内分泌外科部門』として確固たる地位を確保するべく、甲状腺外科学会と内分泌外科学会は1つの学会に再編することとなりました。そのため、本学会 第51回日本甲状腺外科学会学術集会は、甲状腺外科学会としては最後の学会となり、主催させて頂く我々医局員一同は、重責を深く実感しております。
本学会において「甲状腺治療と画像診断の更なる融合」をメインテーマに掲げさせて頂きました。甲状腺外科、内分泌外科においても的確な術前、術中診断が基盤にあってこそ、低侵襲で安全な手術が可能になるものと考えております。甲状腺結節の発見と診断において超音波検査は欠くことの出来ないものであり、また低危険度の微小乳頭癌に対するActive Surveillanceも高い画像診断能力があってこそ、安全に施行可能なものと理解しております。安全で低侵襲的な手術を可能にしてきたのは、外科医のSkill向上のみならず、Surgical Deviceの進歩、術中神経Monitoringの開発であります。また、内視鏡下手術もその現れの1つと考えております。
腫瘍細胞に特異的に発現している異常分子群や、正常細胞に発現して腫瘍の進展に関与する分子群を標的とする分子標的薬剤の開発、臨床導入も進み、手術、アイソトープ(RAI)治療のみが主たる加療法であった頃から、新たな治療戦略が生まれようとしています。伴って、甲状腺治療における特徴的なRAIそのものも適応、加療方法は更に進んで行くことが期待されています。
このように甲状腺外科領域は、急速な勢いで新たな時代を迎えようとしていることは間違いないものと存じます。甲状腺外科ExpertsもBeginnersも放射線科医、内科医と共に手を携えて新たな時代に適合できる組織構築を目指したいと考えており、本学会がその第一歩になればと思っております。
2018年10月秋の横浜で皆様をお待ちしております。 |