テーマ「旅と補助犬～泊まる・食べる・集う　快適な過ごし方を支える背景とは～」

　身体障害者補助犬法が成立した2002年5月22日から17年が経過し、この間に障害者差別解消法も成立しました。平成から令和へと新しい時代の歩みを始めるなか、いよいよ来たる2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催が間近に迫ってまいりました。国内外から補助犬を使用される多くのお客様をお迎えするにあたり、今回のテーマを「旅と補助犬～泊まる・食べる・集う快適な過ごし方を支える背景とは～」とさせていただきました。安心・安全で快適な「旅」を支える交通機関、ホテルの施設やサービス、おもてなしの心などにつきまして、見識ある皆様を京王プラザホテルにお迎えし、討議できますことを誠に光栄に存じます。

　当ホテルでは、予てから盲導犬をパートナーとするお客様に数多くご利用いただいておりましたが、1997年には我が国で初めてとなる海外から介助犬を同伴してのお客様にご宿泊いただくなど、法制定以前から補助犬同伴でのご利用に対応してまいりました。そのような経験を踏まえて、あらゆる方面からご意見を聴取して、2007年には補助犬専用トイレを設置いたしました。ご利用のお客様には大変ご好評いただいており、ユニバーサルルームとともに見学にいらっしゃる方が多い場所ともなっております。一昨年の公益財団法人日本盲導犬協会設立50周年記念式典および祝賀会では182組もの盲導犬ユーザー様が参加され、宴席を楽しみ、多くの皆様にご宿泊いただきました。参加のお客様から、移動の不安を感じずに会そのものを楽しめたとのお言葉をいただき大変嬉しく思っております。当日に向け、お部屋内の利用やホテル館内の移動、レストランでの食事、ショップでの買い物など、ご滞在中全てを円滑にお過ごしいただけるようスタッフ一同に適切なお声かけや対応についての研修・準備・情報提供などを行いました。

　旅を楽しむために私どもが出来ることは快適な環境を創造することです。全てのお客様に快適な環境を作るのは、私どもスタッフの責任であり、喜びです。2020年を迎える中、ホテル、飲食店、店舗、娯楽施設、交通機関、医療機関等々、全ての環境において、障害や行動を制限するバリアを感じない環境づくりをめざし、日本の心である「おもてなし」の気持ちが伝わるよう、本大会が有益な情報提供の機会になり多くの方にご参加いただけますことを祈念しております。