平成13年度 厚生労働科学特別研究事業「救命救急センターにおける重症外傷患者への対応の充実に向けた研究」において、外傷死のうち防ぎ得たと思われる割合が38.6%であったとの衝撃的な報告以来、外傷診療の質を向上させるために本邦では様々な努力がなされてきました。
このような中、特に重症外傷では急性期における限られた時間内に適切な判断と治療が行われることの重要性が強調されてきました。すなわち、救急隊による病院前救護やドクターヘリ、ドクターカーシステムを利用した外傷専門医療施設への搬送、バイタルサインの安定化、及び外傷に特化した集中治療等です。そのためにはJATEC, JNTEC, JPTECなど外傷患者への標準化されたプログラムが必要で、質の高い外傷診療には医師だけでなく救急隊員、看護師をはじめ様々な職種との密接な連携が必須となります。また、外傷患者の診療経験や手術手技など技術の裏付けも大切です。このような考えのもとに
第28回日本外傷学会総会・学術集会のテーマは
“Trauma care needs TRAUMA”
(T : Transportation(搬送)、R : Resuscitation(蘇生)、A : Advanced Care(集中治療)、U : Universal Procedures(標準的アプローチ)、M : Medical Staff(医療スタッフ)、A : Art(技術))とさせていただきました。
外傷診療に必要な“TRAUMA”を中心にプログラムの企画編成を考え、また会員の皆様のご意見を頂戴し準備を進めて参りますので、どうかご指導、ご支援の程よろしくお願いいたします。 |