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市民公開講座

 この度、栄えある日本リンパ学会の第36回総会会頭を拝命し、平成24年6月29(金)、30日(土)、7月1日(日)の3日間にわたり、私どもの東京女子医科大学キャンパス内におきまして学術集会と市民公開講座を開催させていただきます。
 リンパ管の存在を記録したのは遠く紀元前5世紀のHippocratesの時代にまで逆昇るものの、その研究が科学的根拠に基づいて歩み始めたのはまだつい最近の事です。我国のリンパ学は京都大学解剖学教室の足立文太郎とその門下を中心として本格的に幕開けし、以来地道な研究が続いてきましたが、リンパ管同定の不確実性やリンパ管障害の緊急性の低さから臨床的にもやや軽視されがちで、これまで心血管系の進歩から大きく水を空けられていた感があります。しかし、近年リンパ管内皮に対する特異的なモノクローナル抗体の開発や、リンパ管内皮の増殖・再生に関与する諸因子の発見など、分子生物学的な研究内容の進歩とともにリンパ学が飛躍的な進歩を遂げ始めております。本学会は、この様な最近のリンパ学の進歩を反映して、リンパ系の形態、機能、病態、新生・再生の分子制御などの基礎医学から、癌治療とその転移機構と制御、リンパ浮腫の病態・診断・治療、リハビリなどの臨床医学に至るまで、実に多岐に及んだ話題を対象としています。したがいまして、リンパ系に関する話題であれば、学問領域や対象臓器にこだわらず、あらゆる分野の基礎医学者や臨床家、パラメディカルに至るまでの方々が集える学術集会です。
 第36回目にあたる今回は、これまでの我国におけるリンパ学の流れを改めて振り返りながら、「リンパの流れ:きのう、今日、そして明日へ」というメインテーマの下に、新たな発展に向かっての新発見や新知見が活発に展開されることを期待しております。多数の皆様のご参加をお待ち申し上げます。