ご挨拶

第28回日本神経感染症学会総会・学術大会 大会長
中嶋 秀人
日本大学医学部内科学系神経内科学分野

 第28回日本神経感染症学会総会・学術大会を2024年10月11日(金), 12日(土)に一橋大学一橋講堂(東京都千代田区)で開催させて頂くことになりました。多くの諸先輩の先生方が作り上げてきた伝統ある本学会の学術大会を担当させて頂くことは,身に余る光栄であり,心より感謝を申し上げます。実りのある,そして明るく楽しい大会になるように,私と副会長の本学小児科学系小児科学分野,森岡一朗教授の二人で準備を鋭意進めています。

 本学会は神経感染症学の発展と社会へ成果を還元することを目的として設立され,毎年の学術大会では,全国から神経感染症の臨床と基礎研究に携わる第一線の研究者・臨床医・医療スタッフが集まり,神経疾患の病態解明や治療法開発を目標として,最新の研究成果を発表し臨床の実践などの知識の共有の場となってきました。

 今回の学術大会のテーマは『神経感染症・自己免疫性脳炎の克服に向けて Diagnosis, Treatment, and Beyond』としました。脳炎・髄膜炎の原因は感染症から自己免疫性脳炎や感染後の自己免疫病態などに拡大し,病態解明に向けた研究も進んでいます。脳炎・髄膜炎の治療成績の向上には的確な早期診断と早期治療が必須であり,臨床現場では神経感染症と自己免疫性脳炎の双方を理解して,診断と治療のプロセスを進めることが求められるようになりました。一方で,今なお原因不明の脳炎・髄膜炎疾患は少なくなく,診断率を高めるには従来の標準的診断法と網羅的解析法との相補的診断の工夫や新たなゲノム解析技術なども駆使する必要もありますし,自己免疫性脳炎では,その臨床スペクトラムの拡がりに対応した診断技術と治療開発,さらなる病態の解明が望まれます。このような課題に取り組むために,診療と研究の連携が拡大していくことを希望しております。

 本学術大会が,会員の皆様にとって,臨床に役立つ情報を得て,さらなる研究の発展に繋がること,そして若手医師を含めて皆様研究者の交流につながることを願っております。多くの会員の皆様のご参加を心よりお待ち申し上げています。どうぞよろしくお願いいたします。