会長挨拶

第46回日本分子腫瘍マーカー研究会
会長 
山下 継史

北里大学医学部 新世紀医療開発センター 先進外科腫瘍学 教授

 このたび、第46回日本分子腫瘍マーカー研究会の大会長を務めさせていただくことになりました。長い歴史を持つ本研究会を主宰する機会をいただき、身の引き締まる思いとともに、心からの光栄を感じております。

 本研究会は1981年に「腫瘍マーカー研究会」として設立され、がんの早期発見や診断に寄与する分子の探索を目的としてスタートしました。当初は体液中に存在するタンパク質や糖鎖の研究が中心でしたが、その後、遺伝子や分子標的の研究が急速に発展し、2000年に現在の「日本分子腫瘍マーカー研究会」と改称してからは、より幅広い研究分野を包含する形で活動を続けております。基礎から臨床に至るまで、多様な研究成果が持ち寄られ、分子腫瘍マーカー研究は臨床医学の進歩とともに歩んできたといえます。

 学術集会は、毎年日本癌学会の開催前日に行われ、多彩な発表・シンポジウムを通じて最新の知見が紹介されてきました。本研究会の大きな特徴は、大学や研究機関、企業の研究者が分野を超えて一堂に会する点にあります。腫瘍の診断や予後に関わる分子、さらには浸潤や転移に関与する因子、免疫や代謝に関連するバイオマーカーなど、実に幅広い領域について活発な議論が交わされ、研究者にとっても臨床医にとっても、極めて実りある機会を提供してきました。

 私自身も留学から帰国して臨床に復帰した2005年以来、この研究会に毎年参加してまいりました。研究者として成長する過程で多くの学びを得、また栄誉ある今井浩三賞をいただいたことは、研究活動を続ける大きな励みとなりました。今回、大会長としてこの研究会を担う立場となり、これまで培っていただいた恩に報いる場としたいと考えております。

 本大会のテーマは「癌制圧への狼煙~新しい腫瘍マーカーの威力を語る」といたしました。近年、がん研究を取り巻く環境は大きく変化しています。次世代シークエンス技術、マルチオミクス解析、人工知能の応用は、膨大なデータを一気に解釈可能とし、研究の幅と深さを大きく押し広げました。さらに免疫チェックポイント阻害薬やCAR-T細胞療法など、免疫を基盤とした治療が臨床に導入されることで、バイオマーカー研究が果たす役割はこれまで以上に重要性を増しています。診断や治療効果予測にとどまらず、治療方針決定そのものを左右する段階に入っているといえるでしょう。

 本大会では、癌のシングルセル解析による癌微小環境の解明や癌微小環境と予後など私自身の専門領域に加え、幅広いテーマを募集しております。基礎研究と臨床研究を架橋する議論を通じて、次なる研究の方向性を皆様とともに考える場にできればと願っています。

 開催地には、歴史と文化に彩られた京都(国立京都国際会館)を選びました。伝統と革新が調和するこの地で、日頃の研究を持ち寄り、自由闊達な議論を交わすことで、新たな協働や発想が生まれることを期待しております。

 多くの皆様と現地でお会いできる日を心より楽しみにしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

2025年10月吉日