会長挨拶

第43回日本分子腫瘍マーカー研究会 会長からの ごあいさつ

 この度、第43回日本分子腫瘍マーカー研究会の当番世話人を拝命いたしました。歴史と伝統のある本研究会を担当させていただくことを大変に光栄に存じます。

 本研究会は、癌に由来する腫瘍マーカーに関する基礎的・臨床的研究を行うことを目的として「腫瘍マーカー研究会」の名称で設立されましたが、その後の分子生物学的研究の発展に伴い「日本分子腫瘍マーカー研究会」と改称し、研究会の開催や診療ガイドラインの出版などを通して腫瘍関連分子研究の発展および新規腫瘍マーカーの開発に貢献してきました。

 最近になり、がん治療は大きな変革を遂げつつあります。その中心にあるのは、ゲノム医療と免疫チェックポイント阻害薬です。次世代シークエンサーの技術革新により、ゲノム医療が日常診療に組み込まれ、プレシジョンメディスンが実現しつつあります。また、免疫チェックポイント阻害薬の登場は、がんの治療にパラダイムシフトをもたらしました。それでも、いずれも万人に恩恵があるわけではありません。治療選択にはラショナーレが必要であり、ラショナーレに基づく治療選択に必要なのがバイオマーカーです。そこで、今回のテーマを「プレシジョンメディスンを推進するバイオマーカー研究」とさせていただきました。新たながん治療時代の幕開け、そしてこれらの革新的治療を推進するのに必要なものこそバイオマーカーだからです。

 第43回の学術集会はパシフィコ横浜で現地開催いたします。港町横浜の解放された雰囲気の中、熱い議論をかわしていただければと思います。新型コロナウイルス感染症の流行が収まり、皆様と対面で研究会を行えるのを楽しみにしております。多くの皆様のご参加を心よりお持ち申し上げます。

加藤直也
千葉大学大学院医学研究院・医学部 消化器内科学