会長挨拶
第42回
日本分子腫瘍マーカー研究会
当番世話人からの ごあいさつ
九州大学病院別府病院 外科 三森功士
近年、がん診療は高度に専門化・細分化され臨床試験で得られるエビデンスも日々更新されることから、実臨床における真の課題とそれを解決するのに必要なニーズは、基礎研究者とは共有されていないことも多いと思われます。他方、シーケンス、シングルセルなど新たな革新的技術で様々な可能性が広がった基礎研究に関しても得られたシーズを臨床医と共有できる機会は多くはありません。
このたび私どもは第42回の研究会の当番世話人を仰せつかりましたが、今回は「基礎研究からのプロポーズ vs. 実臨床におけるニーズ」と称して、臨床診療側と基礎研究側との間で、特に『分子腫瘍マーカー』を中心に議論の場を設けたいと思います。
まず、臨床側からは現在の実臨床ではどのようなニーズがあるか?ご紹介いただきたいと思います。たとえば、乳がんにおける(通常ルーチン検査ではないため見落とされる)脳転移診断法、通常決められている(術前・術後)補助化学療法期間の個別設定法、膵がんのボーダーライン症例の手術適応の決定法、肝臓がんに対するリピオドール集積後の炎症と再発の鑑別法、食道がんCRTの感受性診断法、免疫チェックポイント阻害剤の感受性判断法などが考えられます。したがいまして、今回は『・・・この局面で使える分子腫瘍マーカーが欲しい!』など、臨床のデータのみで実際に分子腫瘍マーカーを使用していない発表も歓迎いたします。どうぞ奮って御発表ください!
他方、基礎側からも、様々な標的を対象にしたリキッドバイオプシー法、全く新しいアプローチなど、臨床医がインスパイアーされ垂涎の的となるような技術・シーズのご提案をお待ちしています!
臨床・研究ともに原点は相互理解と融合により発展をめざすことが大切ですので、本研究会を新たなシーズ、テーマを見つけるいい機会と捉えて頂けたら幸です。どうぞ、ご参加ください!