会長挨拶
第2回日本脳神経超音波と栓子検出学会総会
会長 榛沢 和彦
新潟大学先進血管病塞栓症治療予防
このたび来年7 月16 日,17 日に新潟市朱鷺メッセにおきまして第二回日本脳神経超音波と栓子検出学会の大会長を拝命いたしました.
本学会大会におきましては頭頸部の超音波検査のみならず,脳梗塞の原因となる心臓・大動脈の超音波検査,そして脳梗塞および多臓器の塞栓症の原因またはその指標となる微小栓子検出について議論いたします.頸動脈エコー検査は動脈硬化の進展指標として確立されており高血圧,脂質異常などの治療指標としても有用です.また下肢静脈エコー検査は深部静脈血栓症(DVT)の検査として確立していますが,肺塞栓症の予防のみならず心房中隔の卵円孔開存(PFO)による奇異性脳塞栓症予防にも重要です.無症状のDVT の潜在数は非常に多く,その早期発見と治療が健康寿命の延長に寄与する可能性も少なくないと思われます.その際に薬物に頼らない着圧ソックス(弾性ストッキング)が有効です.着圧ソックスは災害後のエコノミークラス症候群の予防として知られてきましたが,そのほかの効果もあることを啓発していくことが重要と考えられ具体策を議論したいと思います.一方,日本は近い将来,人口の過半数が高齢者となる汎高齢化社会を迎えます.その際には高齢者も社会の担い手とならざるを得ません.したがって日本の国力・活力を維持するためには健康長寿が絶対条件となり,少なくとも高齢者が病気によって介護が必要になることは避けなくてはなりません.介護が必要となる病気は脳卒中とおそらく血管性認知症が大きな割合を占めており,脳神経超音波検査は比較的安価でこれらの疾患の予防に寄与することが可能です.特に心房細動は脳梗塞の原因であり,また認知症との関連も報告されています.潜在性心房細動患者数は非常に多く,その早期発見と治療が重要です.超音波による微小栓子検出は,脳梗塞の危険性が高い潜在性心房細動の鑑別が可能である可能性があります.また一般住民検診の微小栓子検出によって大動動脈瘤,大動脈解離,狭心症,癌などが見つかっており,微小栓子検出は潜在的疾患を見つけて治療する先見治療のツールとなり得ると考えられ,今後は潜在性疾患の早期発見のために普及が必要と考えられます.最後に我が国は南海トラフ津波地震,首都直下地震,富士山噴火の国難級の災害が起きることが残念ながら確実です.それに対してどう立ち向かっていくかによって国の命運がかかっていると言っても過言ではありません.しかし現在の準備体制では酷い状況になることは目に見えています.国も自らの力不足を認めており,災害関係者以外であっても官民学全てが一致団結しチーム・ジャパンとして準備・対応するよう求めています.そこで本学会においても何ができるのかを本気で考えて,会員の皆様にも行動を呼びかけていく学会大会にしたいと考えております.どうか皆様のご協力をよろしくお願いいたします.
新潟大学医歯学総合研究科先進血管病塞栓症治療・予防講座特任教授
新潟大学医歯学総合病院院心臓血管外科
避難所・避難生活学会常任理事
内閣府防災庁設置アドバイザー
榛沢和彦
