本年3月に起きました東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に心から哀悼の意を表し、お悔やみを申し上げます。被災地域の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
1992年に外科医Mortonと病理医Cochranが中心となって、色素法を用いた悪性黒色腫に対するセンチネルリンパ節生検の有用性を示して以来、悪性黒色腫はセンチネルリンパ節理論の成り立つ腫瘍の代表であり、またその後、この考え方、手術手技は乳がんをはじめ、様々な臓器のがんに応用されるようになりました。
昨年のSNNS研究会は2年ごとに開催されるInternational Sentinel Node Society Meetingと同時に行われましたが、乳がんはいうまでもなく、消化器がんの分野の話題も豊富で日本を中心として世界でもトップクラスの情報が発信され、国内のSNNS研究会学術集会も大いに盛り上がりました。
さて、この研究会も早いもので今年は第13回となります。今回は本研究会の当番世話人を初めて皮膚科領域、特に悪性黒色腫を専門とする私が務めさせていただくことになりました。とても光栄なことと思っております。悪性黒色腫はわが国ではrare cancerであり、症例数では欧米各国にかないませんが、はじめに述べましたように、センチネルリンパ節という概念、センチネルリンパ節生検という方法が悪性黒色腫を対象として本格的に始まった歴史的な背景からも、改めて、悪性黒色腫の生物学的特徴や、日本人の悪性黒色腫の欧米との疫学的な違いに注目することで、他の領域のがんとは違った角度から本研究会の発展に少しでも貢献することができるよい機会にしたいと考えております。
まだまだがん治療が手術中心である現在、リンパ節の取り扱いは、乳がん、消化器がん、悪性黒色腫を含めた多くの領域で、治療方針や治療成績を左右する重要な要因となると思います。今回の研究会のメインテーマは「検証、そして新たな戦略」とさせていただきました。冷静にこれまでの道程を振り返り、今後の展望を導き出す新たな出発点としていただければ幸甚に存じます。 |