第47回日本小児アレルギー学会を開催させて頂くことになりました。誠に光栄であるとともに、責任を強く感じております。とにかくスタッフの数が限定されていますが、学会運営をつつがなく務めさせて頂きたいと念じつつ、鋭意準備をさせて頂いております。
学術集会は平成22年12月4日(土)~5日(日)に横浜市、パシフィコ横浜で開催いたします。
小児のアレルギー疾患について振り返ってみますと、私がこの領域に関与し始めてからのこの30年間に、目覚ましい進歩があったことが即座に理解できます。連日のように呼吸不全の喘息発作重積患者が運ばれて来る状況は過去のこととなり、新たな病態の理解に即した新しい治療方針が種々のガイドラインにまとめられて、アレルギー疾患患者のQuality of Lifeは飛躍的に向上しました。しかし、一方で薬物療法の限界も見えてきたと言えます。過去にはわが国でも盛んに実施された免疫療法(減感作療法)は、近年はすっかり忘れられた存在になっていますが、欧米では主要な研究テーマであり続けており、また、実際の診療においても重要な根治療法として位置づけられています。皮下注射による免疫療法(SCIT)の他、舌下療法(SLIT)も広く普及し、喘息発症の予防効果などについても成績が出ており、薬物療法とは根本的に異なる意味を持つこれらの治療について、もう一度、関心を持って最新の情報に注目してみるべきではないでしょうか。1人1人が免疫療法を実施する立場にならなくても、この根治療法について正確な情報を患者に与えられることは重要な意味を持つと考えます。これまで除去食という消極的な対応しか考えられなかった食物アレルギーにおいても経口免疫療法(特異的経口耐性誘導)が話題となっていますが、私の施設で急速特異的経口耐性誘導に早期に取り組むことが出来たのも、急速SCITを継続的に実践してきた経験があったからです。こういった経緯に焦点を当てる意味で、今回の学術集会のテーマは“根治Radical cureを目指して”としました。是非、免疫療法に関心を持って下さい。
横浜、特にパシフィコ横浜は最近、繰り返し学会で使用されていますが、今回は横浜らしさを新たな趣向で味わって頂くことも企画しておりますので、是非、多勢の会員にご参加頂けることを期待しております。今回の企画が、明日の小児アレルギー疾患診療のレベルアップに貢献できるものとなるように、準備を進めていきます。皆様の御協力をよろしくお願いいたします。
|